茨城県議会 2019-12-11
令和元年第4回定例会(第4号) 本文 開催日: 2019-12-11
それでは,
交流人口拡大による県北振興について伺います。
茨城県総合計画の県北地域の将来人口推計では,2015年の37万2,000人に対し,2050年には19万8,000人,65歳以上の高齢化率も31.2%から51%へと,急激な人口減少と高齢化の進展により,大変厳しい状況が予想されています。このような中,県北地域が活性化するためには,交流人口の拡大を図り,地域経済を好循環に結びつけることが大変重要ではないかと考えております。
本県においても,県北地域の振興について取り組みを強化しているところであり,ことし2月には
県北振興チャレンジプランを策定し,日立市かみね動物園のパンダの誘致を初め,地域の特徴を生かした観光や産業の振興を図るとしており,各種施策の取り組みに対し,私も大変期待をしているところであります。
県北地域のひ
たち臨海クリエイティブゾーンには,変化に富んだ魅力のある景観の
海岸エリアがあり,
奥久慈清流里山ゾーンには,袋田の滝や竜神峡などの豊かな自然の
山間エリアと,それぞれ県内ほかの地域にはない魅力的な自然環境があることから,こうした地域資源を活用した振興策が必要ではないでしょうか。
交流人口の拡大を図るには,
チャレンジプランにも挙げられている
サイクリングや
ロングトレイルのほか,
マリンスポーツなどの
体験型観光を軸とした魅力ある
エリアづくりが重要です。
サイクリングについては,国土交通省から,
つくば霞ヶ浦りんりんロードがナショナルサイクルルートに指定されたことから,今後は,国内外からも多くの方々が来県することが予想され,地域の活性化につながることが期待されています。こうした
サイクリングへの機運の高まりを受け,県北地域にも人の流れを呼び込み,地域経済が潤う取り組みが必要ではないでしょうか。
ロングトレイルについても,観光資源をつなぐルートを検討していると伺っておりますが,県北地域には,文化庁から「歴史の道百選」に選定された日立市の「陸前浜街道の十王坂越」と常陸大宮市の「南郷道」があり,こうした歴史的資源を取り入れたルート設定も大変重要であります。
さらに,ことし3月には
ひたちなか大洗リゾート構想が発表され,魅力的でおしゃれなリゾートを目指すとしています。この構想が進めば,茨城の海の
ブランド化が図られ,環境省の「快水浴場百選」に選ばれている日立市の伊師浜,河原子,水木などの海水浴場のほか,「日本の渚百選」の北茨城市の五浦海岸や高萩市の
高戸小浜海岸を有する県北の
臨海エリアにも波及効果が得られることが期待されます。
県北の景観のよい海辺を生かして,
マリンスポーツを初めとした地域の魅力を体験できる仕掛けとともに,
民間事業者などの進出を促す環境を整え,1年を通してにぎわいがある洗練された
海岸エリアを創造する取り組みが必要であります。
これらの
体験型観光を複合的に推進し,魅力的なエリアを創出することで,交流人口の拡大や地域経済の活性化につながるのではないでしょうか。
そこで,
交流人口拡大による県北振興を今後どのように進めていくのか,知事に伺います。
次に,
高齢化社会に対応した地域医療の充実について伺います。
2025年問題は,団塊の世代の方々が2025年ごろに75歳以上の
後期高齢者になることで,社会全体に多大な影響を及ぼすとされている問題です。
後期高齢者の増加は,寝たきりの状態や認知症患者の増加につながることが懸念され,少子化の影響による労働力不足と相まって,厳しい状況になることが想定されています。本県の高齢化率は,65歳以上の方が29.3%,75歳以上の方は14.4%でありますが,2045年には,65歳以上の方は40%となり,およそ10人に4人が65歳以上になると予想されています。
そのため,今後は,御高齢の方お一人お一人が健康で生き生き活躍できる社会を目指すとともに,保健・医療・福祉の充実したサービスを提供していくことが必要となってまいります。
そこで,在宅医療に対する取り組みについて伺います。
国の調査では,2017年に在宅医療を受けた患者数が1日当たり18万人以上となり,1996年の調査開始以来最多となりました。また,年間の死亡者数は,2015年に約130万人でありましたが,2040年には170万人に急増するとされております。
このような背景の中,国では,団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に,重度な要介護状態になっても,住みなれた地域で,自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう,医療や介護などが包括的に確保される
地域包括ケアシステムの構築の実現を目指しております。
今後,超
高齢化社会に向かう中,体の機能が低下し,通院が困難になる方々の増加が見込まれることから,医療機関が連携して,包括的な医療の提供を行うことが必要となり,その中でも,在宅医療に対するニーズが増加していくと考えます。
本県の在宅医療の取り組みは,医師会と協力して在宅医療を提供する医療施設の
グループ化を行っており,県内で140医療機関,30のグループが形成されています。
しかし,全ての市町村にグループがあるわけではなく,私の地元の日立市においては1グループのみであり,在宅医療に取り組んでいただける医療施設をふやしていくことが今後の大きな課題であると考えます。また,本県の
一般診療所の数や病床数が全国平均を大きく下回っている現状を考慮すれば,在宅医療の担い手となる
診療所医師,いわゆる
かかりつけ医の数についても推移を見守る必要があるのではないでしょうか。
厚生労働省によると,2012年時点での
診療所医師の平均年齢は58.7歳であり,実際に高齢であることや後継者がいないため,廃業せざるを得ない診療所もふえていると伺っております。福島県では,この現状に危機感を覚え,医師会が中心となって
医業承継バンクを立ち上げ,
診療所医師の確保に向けた取り組みを強化しているとのことです。
さらに,往診や訪問診療が必要な患者の疾患は一つであるとは限らず,複数の場合も想定されます。在宅医療の核となる
かかりつけ医には,今後,さらに幅広く総合的な診断能力が求められることとなり,研修や助言など,
かかりつけ医の能力向上のための支援なども必要になるのではないでしょうか。
そこで,今後の在宅医療の取り組みについて,
保健福祉部長の御所見をお伺いいたします。
次に,
看護職員不足に対する取り組みについて伺います。
高齢化の進展により,2025年には団塊の世代が全て75歳以上となる2025年問題が取り沙汰されており,このとき県北地域では,高齢化率が34%を超えるとの見通しであることから,医療・介護の需要が増大すると想定されています。また,病院以外にも,在宅医療や
介護保険サービスなど,さまざまな場面で看護のニーズが拡大しており,看護職員の確保は,
地域包括ケアシステムの確立に大きな役割を果たす重要なものです。
しかし,本県の10万人当たりの
看護職員就業者数は,平成30年度は1,077.9人で全国42位であり,第7次茨城県
保健医療計画における2023年度までに目標としている3万44人に対しては,約2,000人が不足の状態となっております。さらに,
厚生労働省の
医療従事者の需給に関する検討会によると,2025年における看護職員の需要推計では,全国で180万人が必要とされておりますが,ワークライフバランスの充実を前提に推計すると,最大で202万人が必要とされており,本県でも看護職員の需要の増大が大変危惧されます。
県では,看護職員の確保のため,各種施策を行っていると伺っておりますが,看護職員を志す者の県内への就業促進はもちろん,
潜在看護職員の
掘り起こしなど,さらなる取り組みの強化が必要です。
看護職員の就業促進については,看護学校を卒業した学生に対して,本県での就業につながるPRを行うとともに,県内により多く就業するための支援が必要になります。復職支援については,離職者の状況に応じた支援体制が整備されていると伺っておりますが,平成30年度の本県の
ナースセンターにおける
有効求人倍率は5.53と全国で2番目に高いことから,
潜在看護職員のさらなる
掘り起こしが必要となります。
これらに加え,看護職員の定着支援も大変重要です。
公益社団法人日本看護協会の調査によれば,本県における2018年の看護職員の離職率は,正規雇用で10.5%であり,10人に1人が離職する現状にあることから,勤務環境や待遇の改善なども含めた定着促進のための支援も必要ではないでしょうか。
そこで,今後の
少子高齢化社会に対応するためには,看護職員の確保により
スピード感を持って取り組む必要があると考えますが,本県の取り組みについて,
保健福祉部長にお伺いいたします。
次に,
少子化解消への
結婚支援事業の取り組みについて伺います。
厚生労働省が11月26日に発表した
人口動態統計(速報)によると,ことし1月から9月に生まれた子どもの数が67万3,800人と,前年と比べ5.6%減少したことが明らかになりました。これにより,ことしの出生数は87万から88万人になる可能性があるとのことで,これは10年前と比較して20万人程度少ない状態であり,国難とも言えるべき少子化の現状であると考えます。
このことから,今後は
少子化対策がますます重要となってまいりますが,そこで大きな役割を担うのが,未婚者を結婚に結びつける施策ではないでしょうか。
合計特殊出生率低下の要因は,未婚率の上昇と夫婦の子どもの数の減少と言われており,結婚についての現状で言えば,本県の平成30年の婚姻件数は1万2,331組で,婚姻率は4.4%と,いずれも過去最低となっており,婚姻率は,昭和40年代のピーク時の10.5%と比較すると半分以下になっております。
一方で,
国立社会保障・
人口問題研究所の平成27年
出生動向基本調査によれば,未婚者の結婚意思は,男女ともに「いずれ結婚するつもり」と答えた者の割合は8割以上であり,
県政世論調査によれば,結婚しない理由として,出会いの場がないことが約4割と,経済力がないことに次いで多いことから,未婚者の出会いの場を創出することが大変重要になっております。
本県では,
いばらき出会いサポートセンターなどを中心に結婚支援をしており,これまでに同センターに登録されている会員のうち,本年11月末現在で2,164組が成婚していると伺っております。同センターでは,会員の
プライバシー確保や
個人情報保護のため,入会手続やお相手検索,お見合いまで全てセンター内で行っており,
行政ならではの安心感がある方法だと評価しております。
しかし,近年では,スマホを活用したマッチングアプリなどで,手軽に相手を選べるサービスが普及するなど,結婚を取り巻く環境やニーズが変化していることを踏まえると,従来の対面式の窓口対応は参加しにくいものがあると考えます。こうした時代の変化に対応し,これまでの取り組みをさらに進化することが求められるのではないでしょうか。
いばらき出会いサポートセンターには,約2,500名の会員がいるとのことですが,より結婚に結びつけるためには,会員数の増加を図る必要があり,積極的なPRも必要ですが,気軽に入りやすい
雰囲気づくりや,より多くの対象者の中から意中の人を選べることが重要であると考えます。これらのことから,今後の
結婚支援事業については,
民間事業者や,同様の施策を行っている他県との連携を図ることも必要ではないでしょうか。
このように,今後は,時代の変化やニーズに対応した
結婚支援事業を進める必要があると考えますが,
少子化解消への
結婚支援事業の取り組みについて,
保健福祉部福祉担当部長の見解をお伺いいたします。
次に,県北地域の農業振興について伺います。
本県は,首都圏に位置する強みを背景に,品質にすぐれた農産物が豊富に生産される,全国をリードする農業県であります。その中でも県北地域は,久慈川沿いには水田地帯が広がり,そして棚田が点在する山間地域は,畑のほか,ぶどうやりんごの
観光型果樹園などが形成されている,豊かな自然を生かした地域であります。
しかし,県北地域の農業については,特に高齢化が進行しており,
基幹的農業従事者の約8割を65歳以上が占め,労働力や担い手不足が大きな問題となっています。また,農地についても,傾斜地が多く,農家の1戸当たりの耕地面積が1.1へクタールと小区画で不整形と,生産効率を追求する農業を展開するには不利な条件にあります。
耕作放棄地についても,使われていない農地が35.1%と県内で最も高く,近年は,比較的条件のよい場所であっても
耕作放棄地が散見され,増加傾向にあることは明らかです。地元の農家からは,跡継ぎがおらず,10年後には農業をやる人がいなくなるかもしれないという声が多く聞かれ,私は,地域の農業,ひいては将来の地域社会の存続に大きな危機感を抱いております。
こうした中でも,私の地元日立市では,担い手の高齢化や
後継者不足が進む果樹産地を活性化するために,県や市JAなどで構成する
中里レジャー農園サポーター協議会が設立され,市民参加型の
サポーター制度を導入し,労働力を補うことで,
観光果樹園が存続した事例があります。さらに,県北地域全体を見渡せば,作業の負担が少なく,小区画の農地でも栽培しやすいハナモモなどの枝物類が栽培面積を拡大しており,御高齢の方も導入可能な,地域に適した品目を選定して産地化を図った事例もあり,高く評価しているところであります。
今後,農業振興を通じて県北地域を活性化するためには,こういった取り組みにとどまらず,農業で生活に十分な所得を確保し,いわゆる儲かる農業の仕組みを構築し,地域に人が定着できる取り組みを強く進める必要があるのではないでしょうか。
県が示している
県北振興チャレンジプランでは,不利な条件であっても儲かる農業を実現していくための施策が位置づけられており,今後の取り組みに大きく期待をするところであります。
そこで,県は今後,どのように県北地域の農業振興に取り組むのか,
農林水産部長に伺います。
次に,国道245号の4
車線化整備について伺います。
私の地元である日立市は,海と山に囲まれている南北に長い地形のため,市内を縦貫する
主要幹線道路である国道6号と国道245号に車両が集中し,日常的に交通渋滞が発生しています。
平成27年
道路交通センサスによると,日立市内の国道245号は1日当たりの交通量が2万4,242台で,混雑度が1.31と基準値1.0を上回っており,平行して走る国道6号も混雑度が1.88と,移動に大きな支障を来していることから,南北方向の
交通容量不足の改善が大きな課題です。
日立市内の国道6号の渋滞損失時間は,茨城県平均の4倍以上で,県内屈指の深刻な状況であり,その最高値は東京都平均値の3.8倍とされております。また,国道6号や国道245号,その他市道等を含めた
渋滞損失金額は年間120億円に及ぶと試算されており,交通渋滞は産業の振興や市内経済にも大きな影響を及ぼしています。
このような現状の中,日立市内の整備状況については,国道・県道総延長距離138キロメートルのうち27.1キロメートルが4車線化の
都市計画決定がされておりますが,4車線整備された区間は5キロメートルのみで,整備率も18.4%と低い状態にあります。
現在,国道245号の4車線化に向けては,水戸市からひたちなか市,東海村,日立市の4カ所で事業を実施しておりますが,日立市内においては,2015年から日立港区
北拡幅事業として,久慈町から水木町までの約1.9キロメートルで整備が進められており,今年度には新たに久慈大橋の整備が事業化されたところです。
日立市内の交通渋滞は,市民生活に多大な影響を及ぼしていることから,国道245号の4車線化には多くの市民が期待しており,水木町から国分町までの未
事業化区間約5.8キロメートルの計画を含めた,久慈大橋から国分町までの早期の整備が求められております。
そこで,日立市内の国道245号の4車線化に向けた整備の進捗状況と今後の
整備見通しについて,土木部長にお伺いいたします。
次に,国体を契機とした今後の部活動の在り方について伺います。
いきいき茨城ゆめ国体では,45年ぶりに天皇杯・皇后杯を獲得し,大変な盛り上がりの中,閉幕となりました。改めてスポーツの活躍による地域の
盛り上がりを再確認したことで,国体を開催した効果を維持・発展させ,今後も茨城県が
スポーツ強豪県であるためには,子どもたちへのスポーツの楽しみ方やアスリートを目指すためのサポートなどを図る必要があると思います。
しかし,生徒が本格的にスポーツに親しむきっかけとなる部活動においては,少子化などによる社会の変化により,学校の教諭が中心となって行っている現在の部活動の形を維持・継続することが困難になっている現状があります。
国の調査では,顧問の教師が,受け持つ競技を経験したことがない割合が40%を超えており,部活動の中で,よりスポーツの楽しみ方や競技力の向上を得るためには,専門的な知識を有する指導者が必要であると考えます。
また,進学する学校に希望する運動部がないことや,大会などへ学校単位で参加することができないなど,このような事例がふえてきていることから,新たな部活動の在り方を検討する時期に来ているのではないでしょうか。
昨年3月に国から発表された
運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインでは,長期的には,従来の学校単位での活動から,一定規模の地域単位での活動も視野に入れた体制の構築が求められるとしており,この方針を受け,県ではことし7月に部活動の運営方針を取りまとめたところであります。
運営方針の中では,生徒の多様なニーズを踏まえた部活動の設置や,学校の実情に応じた
合同部活動等の推進,部
活動指導者の積極的な活用を図るとともに,地域の部活動に関係する団体と連携するなど,組織としての体制を整えていくとしております。
この方針から,今年度の取り組みとして,
運動部活動指導員の中学校への配置や,生徒のニーズに対応した
運動部活動の実践研究を行っていると伺っておりますが,身近な地域でスポーツに親しむことのできる
総合型地域スポーツクラブと部活動との連携強化も一つの考え方ではないでしょうか。
いきいき茨城ゆめ国体の開催を契機とした今後の部活動の在り方について,教育長にお伺いいたします。
次に,地域の防災拠点としての学校施設の整備について伺います。
近年は,毎年のように大
規模自然災害が頻発しており,国は昨年12月に,
重要インフラの防災対策を進める防災・減災,
国土強靱化のための3か年緊急対策を発表いたしました。
その中で,学校施設の防災機能の強化が
重点プログラムに挙げられており,学校施設は,災害時の地域の避難所としての機能を担う重要なインフラであることは明らかです。しかし,熊本地震や相次ぐ台風などの災害を見ても,防災機能に関してはいまだ十分でないと思われます。
学校が地域の避難所として機能するためには,天井や壁などの構造物の安全性はもとより,食事やトイレの確保,災害に関する情報取得などの機能が求められます。
本県の避難所の多くは,各市町村の小中学校の体育館でありますが,
県立高等学校96校中64校も避難所として指定されており,各校それぞれ防災倉庫や非常用電源,通信装置などの防災機能のほか,飲料水などを備えているとのことです。
今回の台風第19号では,不幸にも多くの方々が避難されましたが,避難生活の中で大きな課題となるトイレは,
県立高等学校指定避難校64校のうち,
マンホールトイレなど災害時に利用できるトイレを有する学校は47校のみで,5カ年計画でトイレの洋式化や
多目的トイレの整備を進めているとのことですが,今後の大規模災害に備えるためには,全校への早期の整備が必要です。
特に,体育館における
多目的トイレの設置率が,小中学校で25.2%,高等学校で11.1%しかないことから,高齢者や障害者に配慮した
多目的トイレについては,
スピード感を持って整備する必要があるのではないでしょうか。
さらに,長期の避難生活を考える上で危惧することは,近年続く記録的な猛暑や冬の寒波などが被災者の健康に与える影響です。なれない避難生活の中で,体調を崩す方を少しでも少なくするよう,快適な
環境づくりへの対応が必要となります。しかし,ほとんどの
学校体育館にはエアコンが整備されておらず,本県の設置率は,小中学校が0.9%,高等学校では0であります。全国的な設置率を見てもまだ3.2%でありますが,東京都などは,災害への備えだけではなく,酷暑対策としても設置を推進しており,本県としても,今後は設置に向けた検討も必要になってくるのではないでしょうか。
そこで,地域の防災拠点としての学校施設の整備について,教育長の見解をお伺いいたします。
以上で質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
5
◯川津隆議長 高安博明議員の質問・質疑に対する答弁を求めます。
大井川知事。
〔大井川和彦知事登壇〕
6 ◯大井川和彦知事
高安博明議員の御質問にお答えいたします。
交流人口の拡大による県北振興についてお尋ねをいただきました。
県北地域は,県内の他の地域よりも高齢化の進行が著しく,将来人口についても大幅な減少が見込まれるなど,大変厳しい状況にありますことから,県総合計画における地域づくりの基本的な考え方に基づき,
県北振興チャレンジプランを取りまとめたところであります。
プランにおいては,ものづくり産業の集積を生かした産業拠点の形成や,地域特性を生かした農林水産業の振興に加えて,海岸線や里山などの豊かな自然環境やアクティビティ等を活用した交流人口の拡大などにより,県北地域の活性化を図っていくこととしております。
そのため,交流人口の拡大方策の一つとしまして,豊かな自然環境を生かした新しい滞在・体験型ツーリズムを推進しているところであります。
例えば,議員から御指摘のありました
サイクリングにつきましては,現在,奥久慈里山ヒルクライムルートを初めとしたモデルルートの整備を進めております。
今般の
つくば霞ヶ浦りんりんロードのナショナルサイクルルート指定の効果を県北地域にも波及させていけるよう,県の持つノウハウを生かしつつ,市町村や地域の関係者などとも連携を図りながら,受け入れ環境やサポート体制の整備などに取り組み,サイクルツーリズムの推進につなげてまいります。
また,県北地域に点在する自然,温泉,歴史・文化遺産,食などの多様な地域資源を,全国トップクラスの全長約350キロメートルのハイキング道などでつなぐ県北
ロングトレイルコースの設定にも取り組んでいるところであります。
現在,コース設定のための現地調査を行うとともに,地元市町や有識者で構成する事業検討会において,コース案やコンセプト等について検討を重ねております。
既に想定コースの一部を使ったモニターイベントを実施しているところであり,完成後には,県北地域の新たな魅力として,誘客に大きく寄与できるものと考えております。
さらに,地域の食文化に触れるガストロノミーをテーマとしたコンテストやツアーを実施することにより,県北ならではの食を通じて,自然・文化を楽しんでいただく取り組みも進めているところであります。
このほか,県北6市町の要望を踏まえ,各市町の創意工夫による主体的な地域づくりに対する補助を行っているところであり,例えば日立市では,久慈浜海水浴場における「アートビーチくじはま」の設置や,地元大学やNPO法人との連携による海を題材にしたワークショップなどの取り組みを支援し,ひたちの海の魅力を生かしたにぎわいが出てきているところであります。
県北地域の
交流人口拡大のためには,これらの滞在・体験型ツーリズムを複合的に推進し,さらなる誘客拡大を図ることが必要でありますことから,県といたしましては,今後とも,地元市町,関係団体などと連携協力し,県北地域の特色ある地域資源を生かしながら,にぎわいと活力ある地域づくりに取り組んでまいります。
7
◯川津隆議長 次に,木庭
保健福祉部長。
〔木庭
保健福祉部長登壇〕
8 ◯木庭
保健福祉部長 高齢化社会に対応した地域医療の充実についてお答えいたします。
まず,在宅医療に対する取り組みについてでございます。
平成29年度の
県政世論調査によりますと,約6割の県民の方が終末期は自宅での療養を希望するなど,在宅医療のニーズは今後さらに高まるものと認識しております。
こうした中,診療所などが在宅医療に取り組む上での最大の課題であります24時間365日対応への対策として,平成29年度から,郡市医師会を推進母体として,複数の診療所・病院を
グループ化することにより,1人医師体制の診療所では必ずしも対応し切れない夜間や患者の病状の急変時への対応の強化を図るなど,個々の医師の負担を軽減する体制づくりに取り組んでいるところです。
現在,県内全域の140の医療機関の参加のもと,30グループが形成されており,グループに参加した医療機関においては,在宅医療を受けた患者数が全体で約3割増加するなど,着実な成果を上げております。
議員から御紹介のありました日立市のグループでは,市北部の4カ所の医療機関が中心となり,医師や看護師,介護支援専門員等の多職種による日立市北部地区在宅診療補完型ネットワーク連絡協議会を立ち上げ,多職種間での症例検討会や緩和ケアなどをテーマとした勉強会が行われるなど,充実した活動を展開していると聞いております。
また,医療機関に加え,介護事業所や地域包括支援センターなども参画し,相互連携による体制づくりを進めており,多職種による顔の見える関係が築けたことで,患者のケアに係る連携がスムーズになったとの声も聞いております。
一方,昨年度,医療機関に対して行った在宅医療に係るアンケート調査によりますと,在宅医療を実施していない医療機関のうち約6割が在宅医療の必要を感じていると回答しております。
必要性を感じつつも,参入に踏み込めない医療機関も一定数存在することから,在宅医療に取り組んでいる医師の協力のもと,事例紹介や訪問診療への同行などの機会の提供を支援しているほか,在宅医療と多職種連携をテーマとした映画媒体を活用した研修や,在宅みとりについてのシンポジウムの開催等を通じて,こうした医療機関の在宅医療への参入促進を図っているところでございます。
また,地域に根差した医療に従事する次世代の医師の育成も重要であります。北茨城市民病院附属家庭医療センターなどにおいては,筑波大学と連携し,医学生や総合診療医を目指す若手医師に対し,訪問診療の現場において,多職種の方々との連携を通して,地域医療を実践的に学ぶ機会が提供されており,在宅医療に取り組む医師の育成にもつながっているものと承知をしております。
県といたしましては,県民の皆様が,住みなれた地域で人生の最後まで安心して暮らし続けることができるよう,引き続き,在宅医療の取り組みを推進してまいります。
次に,
看護職員不足に対する取り組みについてお答えいたします。
本県の
看護職員就業者数は増加傾向にはありますが,今後,在宅医療を初め,さまざまな場面で看護のニーズが拡大することが想定されることから,さらなる看護職員の確保が必要であると考えております。
このため,県では,看護職員の確保を目的として,養成促進,定着促進,再就業促進,質の向上の4つの観点から対策を講じております。
まず,養成促進といたしましては,高校生が,県内の医療機関で看護業務を体験し,看護職を目指すきっかけとなるよう,1日看護体験を実施しているところですが,昨年度は,参加した3年生のうち約8割が看護系の学校に進学するなど,高校生の看護分野への参入促進に一定の効果があるものと考えております。
また,県では,将来,県内で看護職として業務に従事しようとする看護学生に対して修学資金を貸与しておりますが,昨年度は,修学生の約98%に当たる75名が県内で就業するなど,高い施策効果が得られております。このため,引き続き,修学資金貸与制度の活用を進めるとともに,県看護協会主催の合同就職説明会の開催を支援することなどを通じ,看護学生の県内への就業促進に努めてまいりたいと考えております。
次に,定着促進についてでございます。
県では,県医師会の協力のもと,勤務環境改善支援センターを設置し,コーディネーターやアドバイザーが看護職員の定着に苦慮している医療機関を訪問して,休暇制度の見直しや短時間勤務制度の導入など,柔軟な勤務体制の整備等について助言を行うことにより,看護職員が働きやすい
環境づくりを推進しているところです。
また,看護職員として切れ目のないキャリアを積むことを可能とする環境整備も重要でありますことから,県では,看護職員の仕事と育児の両立を支援するため,病院内保育所の整備・運営への助成などを通じて,離職防止を図っております。
一方,育児等のために離職した看護職員に対しては,再就業を促すための働きかけも重要であります。
離職した看護職員には,看護師等の人材確保の促進に関する法律に基づき,県看護協会への届出が努力義務とされているところですが,本県におきましては,届出促進の取り組みの効果もあり,昨年度末時点の県内登録者数は1,501名に上り,登録者の就職率は17.6%と全国平均を上回る成果を上げております。
このため,引き続き,県看護協会と連携し,関係者への届出制度の一層の周知に努め,
潜在看護職員のさらなる
掘り起こしにつなげてまいりたいと考えております。
県といたしましては,看護職の養成,定着,再就業の促進とともに,医療の高度化等への適切な対応に資する特定看護師の養成などに対する支援にも力を注ぎながら,看護職員の確保にしっかりと取り組んでまいります。
9
◯川津隆議長 次に,関
保健福祉部福祉担当部長。
〔関
保健福祉部福祉担当部長登壇〕
10 ◯関
保健福祉部福祉担当部長 少子化解消への
結婚支援事業の取り組みについてお答えいたします。
結婚や子育てに対する価値観の多様化や若い世代の雇用の不安定など,さまざまな理由により,少子化の大きな要因である未婚化・晩婚化が進行しており,30代前半の男性で2人に1人,女性で3人に1人が未婚となっているほか,生涯未婚の割合も大幅に増加しております。
議員御指摘のとおり,本県では,平成18年度に設立した
いばらき出会いサポートセンターを中心とした
結婚支援事業を展開し,一定の成果を上げてきたところでございます。
しかしながら,国が実施した調査によれば,結婚を希望する20代の未婚者のうち,具体的に相手を探すための行動を何も起こしていない人の割合は,男性で7割,女性は5割に上るなど,婚活離れが進んでいる状況にございます。
また,出会いサポートセンターの会員の高年齢化や会員数の減少などの課題も出てきていることから,若い世代のニーズに即した新たな結婚支援のあり方として,結婚をポジティブに捉え,より早いうちから婚活に参加していただけるような仕組みが必要であると考えてございます。
このため,結婚を意識していない10代のうちから結婚や子育てについて考えてもらうきっかけとするため,教育委員会と連携しながら,高校生を対象としたライフデザインセミナーを開催しております。
このセミナーでは,子育ての楽しさや喜びを実感するための赤ちゃん触れ合い体験のほか,現代の結婚や子育て,働き方の変化を学び,自分の将来について具体的にイメージできるよう,有識者の講演,ワークショップなどを行うなど,みずからのキャリアプランも含めたライフデザインを形成できるよう支援しているところでございます。
また,若い世代により多くの出会いの機会を提供するため,成婚実績の豊富な民間事業所の調査や,有識者からのヒアリングなどを行った結果を踏まえ,若い世代の価値観に寄り添ったサポートを行うための人材の育成強化や,民間ノウハウの積極的活用による婚活のイメージアップ,若者が利用しやすいマッチングシステムの導入など,新たな施策の検討を進めているところでございます。
さらに,パートナーが協力して家事や育児を行うことの重要性の啓発や,協賛店でカードを提示すると優待サービスが受けられるいばらき新婚夫婦等優待制度を推進するなど,社会全体で結婚を応援する機運の醸成にも努めてまいります。
県といたしましては,引き続き,若い世代の方に結婚や子育てのすばらしさを伝えますとともに,より多くの出会いの機会の提供に努め,
少子化解消に向けた
結婚支援事業の充実に取り組んでまいります。
11
◯川津隆議長 次に,今野
農林水産部長。
〔今野
農林水産部長登壇〕
12 ◯今野
農林水産部長 県北地域の農業振興についてお答えいたします。
県では,これまで,傾斜地が多く,農地が狭隘であるなど,生産効率を追求するには不利な条件にある県北地域において,農業経営を維持できるよう,例えば,観光と結びついたりんごやぶどうなどの果樹栽培や,販売単価が高く,飼育頭数によって計画的に現金収入が得られる肉用牛生産の振興などに取り組んでまいりました。
また,小区画の農地でも栽培しやすく,定年帰農者の就農や
耕作放棄地の有効活用にも寄与できる品目として,ハナモモなどの枝物類の生産拡大を支援した結果,現在では生産者109名,約60ヘクタールに広がっており,一定の成果が得られたと考えております。
しかしながら,県内で最も高齢化が進行し,今後も大幅な人口減少が見込まれる県北地域において,農業振興を通じて地域の活性化を図るためには,これまでの取り組みにとどまらず,地域の若者が地元に定着するための受け皿となり,さらには地域外からの人財流入の呼び水となるよう,農業を魅力ある産業としていく必要があると考えております。
このため,県では,県北振興の政策パッケージである
県北振興チャレンジプランを策定し,新たな取り組みを進めているところであり,農業分野につきましては,収益性の高い園芸品目を生産する企業の参入支援を初め,付加価値の高い有機農産物の生産支援,常陸牛の生産拡大に向けた取り組みなどを展開しております。
まず,企業の参入支援につきましては,これまで,参入に高い関心を寄せる一般企業26社と県内の農業法人3社に対し,誘致活動を行ってまいりました。
その結果,参入意向を示した県内の農業法人の意向を踏まえ,高萩市内に5ヘクタール規模の参入地区を選定し,
耕作放棄地を含めた農地の集約化に向け,地元説明会や戸別訪問を実施しているところでございます。
また,有機農業の支援につきましては,これまで,県北地域での取り組みを希望する農業法人3社と事業候補地区のマッチングを進めてきた結果,そのうちの1社が希望した常陸大宮市内の農地の貸借について,地権者と合意に達しました。
今後は,来年の栽培開始に向け,土づくりに使用する堆肥を地域内の畜産農家から調達する仕組みづくりや必要な機械の導入を支援してまいります。
また,残る2社につきましても,事業候補地の情報提供を続け,県北地域での事業展開を働きかけてまいります。
さらに,常陸牛につきましては,子牛生産から肥育まで,県内で一貫して生産できる体制を構築するため,県北を初めとする県内のほぼ全ての和牛生産者を対象に,経営に関する意向調査を行い,増頭に向けた課題などを把握し,来年度以降に講ずべき施策の設計を進めているところでございます。
今後は,個々の生産者による規模拡大や法人化に向けた事業計画の策定の支援とフォローアップなどを行うことにより,計画の実現に向け,きめ細かに支援を行ってまいります。
県といたしましては,条件が不利であっても新たな取り組みにチャレンジし,所得向上を目指す農業者を支援することで,儲かる農業を実現し,人口の定着と域外からの流入を促進させることにより,県北地域の活性化に貢献してまいります。
13
◯川津隆議長 次に,伊藤土木部長。
〔伊藤土木部長登壇〕
14 ◯伊藤土木部長 国道245号の4
車線化整備についてお答えいたします。
国道245号は,水戸市を起点とし,県北臨海地域を縦断して日立市に至る主要な幹線道路でありますとともに,物流や観光など地域の産業振興を支える大変重要な路線でございます。
このうち,議員お尋ねの久慈大橋から日立市国分町までの約10.7キロメートル区間につきましては,日立市内の慢性的な渋滞緩和や茨城港日立港区などへのアクセス向上を図るため,4車線で
都市計画決定がなされており,これまでに,留町交差点から日立港入口交差点までの約2.5キロメートル区間の整備が完了しております。
これに続く北側,水木町までの約1.9キロメートル区間につきましては,平成27年度より,国の交付金を活用した日立港区
北拡幅事業として整備を進めており,これまでに路線測量や道路設計などを実施し,昨年度には用地取得に着手いたしました。
現在,久慈漁港に接する区間の道路改良工事や用地取得を鋭意進めているところであり,今後,地元関係機関との調整が整い次第,大みか駅入口交差点の北側において,道路を海側に拡幅するための擁壁工事を実施する予定としております。
この日立港区
北拡幅事業につきましては,今年度,茨城港日立港区へのアクセス道路として補助事業化され,より一層,整備を加速化できるものと考えておりますことから,引き続き,日立市の御協力をいただきながら,残る用地の取得を進めるとともに,まとまった用地が確保できた箇所から順次工事を行い,整備効果の早期発現に努めてまいります。
また,日立市と東海村にかかる久慈大橋につきましても,これまでに交通量推計調査や橋梁予備設計を実施し,今年度,国の補助事業として新規採択されたところであります。
今後,地質調査や橋梁詳細設計に着手するなど,本格的な事業展開を図ってまいります。
さらに,日立市外の国道245号につきましても,現在,水戸市とひたちなか市にかかる湊大橋を含む約0.9キロメートル区間及び東海村村松から久慈大橋までの約3.8キロメートル区間の2工区において,4
車線化整備を推進しているところでございます。
今後,これら4工区の整備が全て完了いたしますと,国道245号は,水戸市塩崎町の国道51号から,ひたちなか市及び東海村を経て日立市水木町に至る約23キロメートル区間が4車線でつながることになり,茨城港日立港区及び常陸那珂港区周辺における交通の円滑化や物流の効率化が図られ,県北臨海地域のさらなる発展に大きく寄与するものと考えております。
県といたしましては,日立市内における国道245号の4車線化に向け,まずは,現在進めております日立港区
北拡幅事業及び久慈大橋の架け替え事業について,国や地元日立市と連携しながら,整備の推進を図ってまいります。
また,日立港区
北拡幅事業より北側,水木町から国分町までの約5.8キロメートル区間の事業化につきましては,現在事業中の区間の進捗状況や周辺道路の交通量の推移等を勘案しながら検討してまいります。
15
◯川津隆議長 次に,柴原教育長。
〔柴原教育長登壇〕
16 ◯柴原教育長 国体を契機とした今後の部活動の在り方についてお答えいたします。
議員御案内のとおり,いきいき茨城ゆめ国体は,選手一人一人の活躍はもちろんですが,多くの県民の皆様の御協力や応援を受け,天皇杯・皇后杯を獲得することができ,成功裏に終えることができました。そして,応援や係員としてかかわってくれた多くの子どもたちのスポーツへの興味・関心を高めることができたものと考えております。
このような中,子どもたちが生涯にわたるスポーツとの豊かなかかわり方を学ぶために,
運動部活動は今後もその役割を果たしていくものと捉えております。
本県では,生徒のバランスのとれた生活と成長に十分配慮するため,茨城県部活動の運営方針を策定し,限られた時間の中での合理的・効率的,そして効果的な指導の在り方や,休養日の設定,部活動指導員を積極的に活用することなどに取り組んでおります。
中学校では,国の補助を活用して,顧問教員のかわりに,単独で指導や試合の引率ができる,専門的な知識を持った部活動指導員を,今年度,10市町村に48人配置しております。
そのほかにも,少子化による部員数の減少や,専門的に指導できる教員の不足に対応するため,複数校が合同で部活動を行ったり,地域スポーツクラブと連携する取り組みのほか,生徒が自分の予定に合わせて活動日を選択できる取り組みなどの例もございます。
また,高等学校においては,本県独自の事業により,交通が不便で生徒数が減少している地域において,部活動指導員を配置し,合同部活動の実践研究に取り組んでおります。
部活動指導員の中には,プロスポーツ選手やスポーツクラブ指導者等もおりますことから,生徒がより専門的な指導を受けることを通して,スポーツの魅力や楽しさに触れることも期待されておりますが,実際に指導を受けた生徒からは,指導がわかりやすく,自分でできることがふえたという声も聞こえてきております。
また,部活動の顧問が,専門的な知識がないまま,中学生,高校生の時期に過度な練習を行うことは,スポーツ傷害のリスクを高めるおそれもあることから,今後も引き続き,部活動指導員を活用したり,大学やスポーツクラブと連携することで,スポーツ医学に基づく科学的な見地による指導ができるよう,研修会などで,市町村や学校に対して改めて周知をしてまいります。
県といたしましては,国体を契機として,生徒の間でスポーツへの関心が高まってきたことを踏まえ,スポーツをする・みる・支える・知るといった多様なかかわり方を育むとともに,子どもたちがスポーツの楽しさを味わっていけるよう,地域スポーツクラブとの連携を含め,部活動の適切な運営を推進してまいります。
次に,地域の防災拠点としての学校施設の整備についてお答えをいたします。
学校施設は,子どもたちの学習・生活の場であるとともに,災害時には,地域住民の安全を確保するため,本県の公立小中学校全体の97%,県立高校全体の67%が,それぞれ市町村から避難所に指定されております。
近年,災害は全国各地で頻発するだけではなく,ことしは本県でも台風第19号などが大きな被害をもたらしたことから,避難所に対する地域住民の関心が高まってきております。
そのため,避難所としての役割や備えるべき機能を踏まえた,学校施設の防災機能の強化は重要であると認識をしております。
県立高校の防災機能の強化につきましては,これまで建物の耐震化を重点的に進めてまいりましたが,現在は,災害時の対策として,帰宅が困難となった児童生徒や地域住民が安心して避難生活が送れるよう,市町村とも連携しながら,飲料水などの備蓄品や非常用電源などの確保を進めているところでございます。
学校を避難所として使用する場合は,地域の高齢者の方や障害のある方などの利用が想定されますが,県では,令和5年度までに,普通教室棟・体育館のトイレ洋式化及び
多目的トイレの整備に取り組むとともに,簡易トイレなどにつきましても,計画的に整備を行ってまいります。
また,県立高校の空調設備につきましては,ことし6月までに全ての普通教室において空調設備を整備し,生徒の教育環境を改善したところでございます。
こうしたことから,県立高校が避難所となる場合は,関係市町村と連携し,空調設備がある教室に避難者を誘導するなど,施設の有効活用を検討していきたいと考えております。
議員から御指摘のございました体育館への空調設備につきましては,避難所としての機能や授業等の酷暑対策の観点から,将来的な課題の一つと認識しておりますので,体育館の空調設備の先進事例や費用対効果などを調査・研究してまいります。
さらに,小中学校におきましても,その多くが避難所に指定されております。
小中学校のトイレ改修や空調設備などの施設整備については,国の補助制度がありますので,県といたしましては,学校設置者である市町村に対し,各種補助制度の周知や助言,先進事例の紹介など,防災機能の強化が図られるよう働きかけを行い,小中高校が避難所として十分に役割を果たすことができるよう,学校施設の整備に取り組んでまいります。
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17
◯川津隆議長 暫時休憩をいたします。
なお,会議再開は,午後2時25分を予定いたします。
午後2時2分休憩
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午後2時26分開議
県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続)
18 ◯福地源一郎副議長 休憩前に引き続き会議を開き,県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。
この際,申し上げます。
次の質問・質疑は,分割方式により行われます。
また,質問補助者が同席いたします。
なお,傍聴人の皆様に申し上げます。
傍聴人の拍手は禁止されておりますので,御留意願います。
金子晃久議員。
〔14番金子晃久議員登壇,拍手〕
19 ◯14番金子晃久議員 いばらき自民党の金子晃久であります。
今回,私自身,3回目となる質問の機会をいただきました先輩議員の皆様,同僚議員の皆様に感謝を申し上げます。
それでは,通告に基づきまして質問をさせていただきますので,執行部の皆様方には,明快なる御答弁をよろしくお願い申し上げます。
初めに,ふるさと納税制度の構造的課題についてお伺いをいたします。
ふるさと納税制度は,住民が出身自治体などに寄附すると,自己負担を除いた額が翌年度の住民税から控除されるものです。
過度な返礼品を競う自治体間の競争の様相を呈していたことから,ことし6月には法改正があり,行き過ぎた寄附金集めは是正される方向になったと伺っておりますが,過剰な寄附を集めた自治体を,総務省が制度の参加から外したことで,司法の場で争われる事態ともなっております。
私としては,制度が本来の趣旨から逸脱した利用がされた上,結果的に国民の不利益につながることを大いに危惧しているところであります。
県内市町村の収支状況を見ると,半数の22市町村では,寄附金の受入額から税額控除額と募集費用を差し引いた収支がマイナスとなっており,税額控除額の75%は地方交付税で算定されることになっておりますが,交付税不交付団体では結果的に交付税による措置がなく,他の自治体にふるさと納税された分がそのまま減収となります。
対して,大幅な増収となった自治体であっても,ふるさと納税はあくまで住民の意思に基づく寄附であり,安定収入である税収ではないことから,地方交付税交付金が減額されるということはなく,ふるさと納税と地方交付税の二重取りとなり,安定的な財源を確保し,行政運営を進めていく上で,自治体間の格差が懸念されているところであり,持続可能な制度の運用が求められております。
一方,本制度は,被災地支援の手段や,クラウドファンディング型ふるさと納税により国体の施設整備に活用されるなど,自治体の資金調達の手段に加え,さまざまな施策や取り組みをPRする機会としても有効な活用が期待されているところです。
県では,県産品のPRやイメージアップに本制度を活用していくということでございますが,ふるさと納税制度には構造的課題があり,自治体間での新たな格差が生じるなど弊害が出ることを危惧しております。今後,県としてどのように考え,制度に対し,どう向き合っていくのか,総務部長にお伺いをさせていただきます。
この項目に対する質問は以上です。
20 ◯福地源一郎副議長 金子晃久議員の質問・質疑に対する答弁を求めます。
村上総務部長。
〔村上総務部長登壇〕
21 ◯村上総務部長 金子晃久議員の御質問にお答えいたします。
ふるさと納税制度の構造的課題についてお尋ねをいただきました。
ふるさと納税制度は,個人が,県内外を問わず,他の地方団体に寄附した場合,2,000円の自己負担を除いた寄附金の一定の額までが,所得税と県民税及び市長村民税から控除される制度であります。
平成30年度における県内市町村の状況を見てみますと,議員御指摘のとおり,多額の寄附金を受け入れた自治体がある一方で,人口規模が大きい都市部の自治体等では,税額控除が寄附金収入を大幅に上回っている傾向にありますが,本年の制度改正により,一定の適正化が図られるものと考えております。
県では,これまで,現行制度を有効に活用して,犬猫殺処分ゼロを目指す取り組み等の応援メニューを設定し,県施策の情報を発信したり,返礼品として,高島屋と連携した県産品のPRなどを行ってまいりました。
さらに,県アンテナショップ内レストランにおいて,県内産の海産物や野菜等,多くの食材を取り入れたペア食事券を返礼品に追加するなどの取り組みも行っております。
また,台風第19号の被災に際しては,本県に対する寄附金の募集や被災自治体に対する寄附金の代理受付に速やかに取り組んだところです。
市町村においては,ふるさと納税がまちづくりや市民活動の支援,防災対策などの施策の推進に活用されており,貴重な財源となるとともに,地場産品の有効なPR手段として活用されているものと認識をしております。
このようなことから,県といたしましては,今後とも,制度改正後のふるさと納税制度を適正かつ有効に活用しながら,県産品のPRや被災地支援などを通じて寄附文化の醸成を図るなど,市町村とともに,ふるさと納税制度が持続可能な制度として有効に活用されるよう取り組んでまいります。
22 ◯福地源一郎副議長 金子晃久議員。
〔14番金子晃久議員登壇〕
23 ◯14番金子晃久議員 御答弁ありがとうございました。
この構造的な課題に関しましては,地場産品ではないものを送ったり,金券を送ったりなどという過剰な寄附金集めの様相を呈することに,確かに私自身も,この構造的欠陥があるのではないかというふうに,常々,指摘はさせていただいたのですが,茨城県におきましても,正々堂々とこの制度を活用し,寄附金を多く集められるように御努力をお願い申し上げまして,次の質問に移らせていただきます。
次に,アライグマ対策についてお伺いをいたします。
アライグマは北米大陸が原産で,1970年代に,テレビアニメの影響もあり,日本にペットとして大量に持ち込まれたものの,成長により気性が荒くなるため飼育が難しく,捨てられたり,逃げ出したりして野生化し,全国各地で現在,問題となっております。
現在では特定外来生物として指定され,捕獲活動がなされてはいるものの,食物連鎖の上位に位置し,天敵もなく,雑食性で,強い繁殖力と移動能力を持っていることから,県内でも県南・県西地域を中心に生息範囲が拡大しており,人家へ入り込むなど,生活環境や農作物への被害が深刻化しているほか,カエルやエビ,カニ等の野生生物も捕食するため,食性が似ているタヌキなどの在来種と競合するなど,生態系への影響も懸念をされているところです。
特に,人への影響としては,鋭い牙による大けがや,狂犬病など感染症を媒介するリスクもあります。また,ペットへの感染症も媒介する可能性が指摘をされており,県内各地から,イノシシによる被害と同様に,深刻な脅威を感じるとの声も聞かれるところであります。
県では,平成22年度に茨城県アライグマ防除実施計画を策定するなど,野外からの完全排除を目標として,市町村での重点防除や捕獲強化に取り組んでいるところでありますが,生態・生息範囲の実態把握が難しく,また,地域による認識や対応に温度差があるなど,課題も多いと聞いております。
実際,捕獲実績を見ても,ある地域では防除し,隣接の地域では防除していない状況が見られることから,捕獲効率がよく,個体数削減効果の高い時期に,隣接地域が一斉に捕獲対策を講じるなど,広域的な視点からの連携により,分布の拡大を抑制していく必要があると感じております。
専門的な知見に基づき,野外での根絶を目指すためにはどれぐらいの捕獲が必要か,対症療法的に捕獲を続けるのではなく,目標を立てて対策を進めていく必要があるのではないでしょうか。生息数を減らすためには県民の協力が必要不可欠であり,地域住民主体での捕獲作業を進めることや,効率的な捕獲方法の研究・開発なども進めていただきたいと考えております。
また,そもそも野生生物であるアライグマを安易に輸入した人間の身勝手さもあり,防除されるアライグマには罪はないのでありますが,さまざまな人的・物的な被害をなくすため,徹底した防除対策を図るとともに,将来にわたり地域の生物多様性を保全していくため,県民への野生動物や生態系などへの理解を深めることも同時に重要であると考えております。
そこで,アライグマ対策について,県は今後どのように取り組んでいくのか,県民生活環境部長にお伺いをいたします。
この項目に関しての質問は以上です。
24 ◯福地源一郎副議長 矢口県民生活環境部長。
〔矢口県民生活環境部長登壇〕
25 ◯矢口県民生活環境部長 アライグマ対策についてお答えいたします。
アライグマは,北米原産の外来生物ですが,1970年代以降,ペットから野生化し,国内での生息域や生息数が拡大・増加し続け,生態系への影響や生活環境等の被害が深刻化してきました。
このため,平成17年に特定外来生物に指定され,許可を受けずに飼育や運搬することが禁止されました。
本県では,平成19年に土浦市で初めて確認されて以来,家屋への侵入によるふん尿被害や衛生面の悪化といった生活環境被害が発生しており,農作物被害や生態系への影響も懸念されております。
このため,県では,平成22年に外来生物法に基づく防除実施計画を策定し,市町村と連携し,対策を進めてまいりました。
具体的には,市町村職員や住民等を対象に,アライグマの生態を初め,危険性についての知識や捕獲方法等に関する講習会を開催し,捕獲に携わる方を育成するとともに,市町村に対し,箱わなの貸し出しを行っておるところでございます。
市町村では,住民や狩猟者などの協力を得ながら捕獲活動を進め,捕獲した個体の大半は県が処分しております。
これらの取り組みの結果,捕獲数は年々増加し,昨年度は,過去最高の974頭となったほか,これまで合計で約3,500頭になるなど,一定の成果を上げております。
しかしながら,議員御指摘のとおり,アライグマは繁殖力が強い上に,天敵がいないことなどから,完全防除には至っていない状況にございます。
このような状況を踏まえた今後の対策ですが,まず,地域によってはアライグマの存在自体を知らない住民もいることから,アライグマの実態や生態系に及ぼす影響,そして被害が出るおそれなど,生態に関する正しい知識の普及に力を入れ,早期の発見と捕獲につなげていくことが重要と考えております。
このため,今後,アライグマの活動が活発化する春先を中心に,啓発活動を強化するとともに,捕獲実績が少ない市町村に対し,対応を強化するよう働きかけてまいります。
また,議員御指摘のとおり,専門的な知見を取り入れつつ,地域によって取り組みに差がある現行の体制を検証した上で,より効果的な対策を検討することも必要と考えております。
現在の計画の期間は来年度までとなっておりますので,次期計画の策定においては,専門家の助言をいただきながら,県全域を対象とした生息状況調査を実施し,しっかりと実態を把握した上で,捕獲目標の設定を初め,効果的な防除方法について検討してまいります。
県といたしましては,このような取り組みにより,アライグマの早期発見と徹底捕獲の体制を県全域に確立し,完全防除を目指してまいります。
26 ◯14番金子晃久議員 再質問いたします。
27 ◯福地源一郎副議長 金子晃久議員。
28 ◯14番金子晃久議員 御答弁ありがとうございました。
先ほど,5カ年の実施計画を平成28年から開始されておりますが,平成27年当時,288個体が確認されたということで,その後の5カ年のうち,平成30年度の実績で974頭ということで,計画実施前よりも,計画実施後,3倍に,この確認の数がふえているということでございます。
5年もたてば,さまざまな生態系の変化や生息範囲の変化,さらに,さまざまな行動の変化等もございます。5カ年という計画が本当に適切なのか,それも検証していただき,この5カ年というものではなく,例えば,さまざまな検証によって,3年もしくは4年といった計画の短期化等も検討されるべきではないかということの御所見を賜りたいと思います。
29 ◯福地源一郎副議長 矢口県民生活環境部長。
〔矢口県民生活環境部長登壇〕
30 ◯矢口県民生活環境部長 再質問にお答えします。
計画期間についてでございます。
現行の防除実施計画は,令和3年3月までの5カ年間の計画となっております。これは,いわゆる外来生物法に基づく,国が告示している期間を踏まえたものでございます。一般的に,県が策定するこの種の計画につきましては,5年スパンでありますが,議員御指摘のとおり,その5年間においては,情勢の変化やアライグマの生育条件も変わってくると思います。
そういうことで,新たな計画におきましては,国が示した期間を初め,アライグマの生息状況の変化や科学的知見などを踏まえながら,計画期間を設定してまいりたいと考えております。
また,必要に応じて見直し作業を行うなど,柔軟かつ機動的に対応してまいりたいと考えております。
31 ◯福地源一郎副議長 金子晃久議員。
〔14番金子晃久議員登壇〕
32 ◯14番金子晃久議員 御答弁ありがとうございました。
私の住む常総市,そしてお隣の坂東市などでは,このアライグマによる被害が今,顕著化されております。先ほど指摘をさせていただきましたとおり,大変被害を受けている地域の隣接地域で実効性のある捕獲行動を起こさなければ,県全体としての効果的な対策にはならないというふうに感じております。
また,イノシシなどにもあるような,捕獲に対する国や県等の補助もぜひ検討に入れながら,次の5カ年に向けて実効的な計画が策定されるよう,心から願うところであります。
次に,肥満対策についてお伺いをさせていただきます。
肥満とは,摂取エネルギーが消費エネルギーを上回り,過剰分が体脂肪として必要以上に蓄積された状態であり,食生活を取り巻く社会環境の変化や運動不足などから,世界的にその増加が問題になっております。
肥満との関連が高いとされる疾患には,虚血性心疾患や脳卒中,高血圧などの循環器系の病気があり,腎臓病,乳がん,出産障害などとの関連性も指摘されております。また,糖尿病のリスクを6倍に増加させるなど,遺伝的な原因や不健康な生活スタイルよりも,肥満が及ぼす影響がはるかに深刻であるとの研究結果もあります。
糖尿病人口は,世界で爆発的に増加をしており,国際糖尿病連合の発表によれば,2019年現在で4億6,300万人に上り,今後も増加が予想され,年420万人が死亡し,医療費も約83兆円と過去最大になっております。
ユニセフの「世界子供白書2019」では,糖尿病増加の原因は小児・若年期の肥満にあり,肥満や過体重を防ぐ食料システムの構築が必要であると警鐘を鳴らしております。
また,最近では,肥満が聴力低下にも関係していることが,国立国際医療研究センターなどの研究で判明いたしました。
このように,肥満は,生活習慣病を初めとして,数多くの疾患のもととなるため,健康づくりにおいて肥満の予防・対策は極めて重要であり,今や,肥満を個人の問題として個々人の自律的な生活に任せるのではなく,社会的に対処すべき問題として捉えていく必要があると思います。
本県においても,平成27年の
厚生労働省年齢調整死亡率で見ると,脳血管疾患及び急性心筋梗塞などの循環器疾患でワースト6位,糖尿病でワースト8位と,生活習慣病による死亡率が全国的に高い状況にあり,肥満対策は喫緊の課題であります。
県では,働く世代を対象として,いばらき健康寿命日本一プロジェクト推進事業などにより,県民総ぐるみの健康づくり運動を展開しているところではありますが,より具体的に肥満の問題に焦点を当てて,積極的に対策を考えていくべき時期ではないでしょうか。
特に,肥満や糖尿病などの生活習慣病は,若いときからの生活習慣に決定的に依存することから,早期からの生活習慣改善が有効であり,大人への対策とともに,小児期からの肥満に着目した教育・指導により予防を推進していくことも重要であります。
以上を踏まえまして,健康長寿日本一を目指すためには,県として正面から肥満の問題に向き合い,子どもから大人まで切れ目のない対策が必要であると考えますが,今後どのように取り組んでいくのか,
保健福祉部長の御所見をお伺いいたします。
この項目についての質問は以上です。
33 ◯福地源一郎副議長 木庭
保健福祉部長。
〔木庭
保健福祉部長登壇〕
34 ◯木庭
保健福祉部長 肥満対策についてお答えいたします。
本県におきましては,幼児期から壮年期まで,ほぼ全ての年代で肥満の方の割合が全国平均を上回っている状況にありますが,肥満は,高血圧や高脂血症,糖尿病などとあわせ,急性心筋梗塞や脳卒中などの重大な疾病の主要な原因となり得るものであり,健康寿命の延伸を目指す上で,肥満対策を含めた生活習慣の改善は大変重要であると考えております。
また,小児期の肥満は,将来の生活習慣病のリスクを高くするとの報告もありますことから,市町村や教育関係機関,企業等と連携しながら,ライフステージに応じた健康増進のための環境整備に取り組んでいるところです。
まず,乳幼児期は食生活の基礎ができる時期であることから,市町村においては,規則正しく食事をする習慣をつけること,栄養のバランスに気を配ること,食べ物の好き嫌いを少なくすること等について指導しております。
小中学校での取り組みといたしましては,子どものころからの望ましい生活習慣の形成が,生涯にわたる健康生活につながっていくことから,発達段階に応じ,子どもの運動意欲の向上を図るとともに,副読本などを活用して,食に関する指導の充実を図っております。
また,生活改善が必要な子どもたちに対し,家庭と協力をしながら,健全な発達を促しているところです。
食生活が乱れがちな高校生や大学生を中心とした世代に対しましては,県において作成した栄養指導用のテキストを配布するとともに,保健所の栄養士が中心となり,高校や専門学校などにおいて,適正な体重や必要なエネルギー量,バランスのよい食事の選び方等の食を通じた健康づくりに関する講義を実施しております。
働く世代に対する取り組みといたしましては,食生活改善を効果的に推進するため,社員食堂など企業の給食施設を保健所の職員が巡回し,施設管理者に対し,栄養管理が適切に行われるよう,指導・助言を行っております。
また,従業員が健診を受診しやすい環境の整備や受動喫煙対策の取り組み等,従業員の健康支援を行っている県内65の事業所を,昨年度,いばらき健康経営推進事業所として認定したところでございますが,従業員の健康は,生産性の向上や企業のイメージアップにもつながりますので,多くの事業所に健康経営の趣旨を御理解いただき,申請につながりますよう働きかけてまいります。
さらに,本年6月から本格稼働した県の公式健康アプリ「元気アっプ!リいばらき」においては,禁煙や健診受診のほか,野菜摂取や減塩を意識した食行動,また,ウォーキングやランニングなどの日常的な運動でポイントが加算される仕組みが導入され,多くの利用者の方に楽しみながら健康づくりに取り組んでいただいているところです。
食事や運動などの生活習慣改善の取り組みの成果が体重に反映される面もありますことから,体重の増減が1日ごとにグラフで表示されるアプリの機能も活用し,日々の健康づくりの励みにしていただきたいと考えております。
さらに,循環器疾患予防月間である9月には,関係団体や民間企業と連携した健康づくりキャンペーンを開催し,生活習慣病の予防に関する普及啓発と健康づくりの機運醸成に努めているところでございます。
県といたしましては,今後とも,こうした健康づくりの取り組みを通じて,子どもから大人まで,県民お一人お一人が生き生きと健康を享受できる社会の実現を目指してまいります。
35 ◯福地源一郎副議長 金子晃久議員。
〔14番金子晃久議員登壇〕
36 ◯14番金子晃久議員 肥満の問題でございますが,世界に目を転じますと,人類は3つの害悪と戦ってきたという歴史があります。1つは飢餓,2つ目は疫病,そして3つ目は戦争であります。人類の英知や進歩により,この3つの害悪に関して,今,克服の傾向でありますが,今なお現在でも,世界では飢餓や栄養失調に基づく死者は100万人,そして伝染病に基づく死者は1万人,そして暴力や戦争によって亡くなる方は62万人とされております。しかしながら,肥満に起因する死者は何と300万人いるということで,今現在,銃よりも砂糖のほうが人を殺してしまうという世界的な現象にもあります。
また,先ほど,行政,そして教育機関,また,職場総ぐるみで肥満対策に乗り出していただくということでありますが,ぜひ茨城県の健康長寿日本一の中にも,この肥満対策というものをしっかりと盛り込んでいただきまして,肥満を改善していただきますよう,心よりお願いを申し上げまして,次の質問に移ります。
次に,水田の基盤整備や用水管理の省力化による水稲生産コストの低減についてお伺いをいたします。
本県は,平成29年の米の産出額が868億円と全国第4位の主産県であります。しかし,以前のように米価が上がらず,人口減少による米の国内消費量の減少や,貿易自由化による競争の激化などが見込まれるなど,稲作経営を取り巻く環境は大変厳しいものとなっており,競争力の高いもうかる農業を実現することは喫緊の課題であります。
このような中,今後,稲作経営に当たっては,国内外との競争に打ち勝つよう,水田の基盤整備や担い手への農地の集積・集約により,生産コストの低減を図ることが大変重要であると私は考えております。
私の地元であります常総市は,鬼怒川や小貝川の流域に水田が開けており,これまで多くの水田で,1区画当たり30アール区画の基盤整備が進められてきたところでありますが,大規模に経営する担い手からは,効率よく作業できるよう,もっと大きな区画が欲しい,また,未整備の水田は,農作業の効率が悪いなどということから,借りたくないという声を伺っております。
私といたしましても,大区画に整備することは必要ではないかと考えております。
今年度,基盤整備に着手しました,私の地元であります常総市三坂地区におきましては,地域で話し合いを重ね,現状,1区画当たり10アールの水田を1ヘクタールとする大区画化等の整備と一体的に,担い手への集積・集約を進めることで合意が得られたところであり,生産コストの低減が大いに期待されるところでもあります。
また,稲作の労働時間の多くを占める用水管理について,いかに作業負担を軽減するかが大きな課題となっております。このため,私といたしましては,近年注目を浴びているICT等を活用し,生産コストの低減を図ることも一つの方法であると思っております。
そこでお伺いをいたします。水田の基盤整備や用水管理の省力化による水稲生産コストの低減が必要と考えておりますが,県として今後どのように取り組んでいくのか,
農林水産部長にお伺いをいたします。
この項目についての質問は以上です。
37 ◯福地源一郎副議長 今野
農林水産部長。
〔今野
農林水産部長登壇〕
38 ◯今野
農林水産部長 水田の基盤整備や用水管理の省力化による水稲栽培コストの低減についてお答えいたします。
県では,これまで,水田農業の生産性の向上を図るため,1区画当たり原則30アール以上の面積となるよう,水田の基盤整備を進めてまいりました。
さらに,平成に入ってからは,平たんで広く開けている水田を対象に,1区画当たりの標準面積を1ヘクタール程度とする,さらなる大区画化にも取り組むこととしたところです。
農林水産省が平成29年度に取りまとめた調査によると,水田の基盤整備によって,30アール程度の区画とすることで,米の生産コストが約16%低減し,さらに1ヘクタール程度以上の大区画に整備することで約15%低減するとされております。
現在,県の基盤整備の進捗につきましては,水田の約8割が1区画当たり30アール以上に整備された一方,さらなる大区画化については,対象とされる平たん地の水田約5万ヘクタールのうち,整備が行われたところは約4,000へクタールにとどまっております。
今後,さらに,農業従事者の高齢化や減少が進む中,意欲ある担い手への農地の集積・集約を加速化させ,米の生産コストをより一層低減するため,水田のさらなる大区画化に取り組んでまいりたいと考えております。
具体的には,既に30アール区画に整備された地域については,農地中間管理事業等を活用し,集積・集約を進めている担い手の意向に応じ,畦畔除去等の簡易な整備により,区画の拡大を進めているところです。
また,新たに水田の基盤整備を行う地域については,大区画化と担い手への集積・集約を一体的に進められるよう,地元の意向を踏まえた整備計画や集積計画を策定し,事業に取り組んでおります。
議員が御質問で触れられました常総市三坂地区におきましても,今年度,基盤整備に着手し,地区面積の約8割を1ヘクタール程度の区画に整備するとともに,地区面積の約9割を地域の中心的な担い手に集積・集約し,生産コストの低減を図っていくこととしております。
さらに,労働力不足が深刻な問題となっている中において,大規模な担い手への農地の集積・集約を進めつつ,生産性の向上を実現するためには,作業の省力化,省人化が極めて重要となります。
中でも,水稲栽培における労働時間のおおむね2割程度を占める用水管理については,依然として人手に頼っており,ICT等の活用により,担い手の負担軽減を図ることが有効であると考えております。
現在,国の研究機関が,稲の成長や気象の状況に応じて,きめ細やかな調整が必要となる用水ポンプの運転操作や末端の各水田の水位調節などを,ICT等を活用した遠隔操作や自動制御によって行うシステムの開発を進めており,点在している水田の見回りが大幅に減少するなどの省力化が期待されます。
一方,このシステム全体を一括で導入しますと,担い手の費用負担が大きくなることから,県におきましては,国の研究機関と連携し,本県の標準的な規模の用水施設を備えた実証圃場において,システムを段階的に一部ずつ導入した場合の費用対効果の検証を行っているところです。
県といたしましては,水田の大区画化や用水管理におけるICT等の活用の検証に取り組むことにより,生産コストのさらなる低減を図り,もうかる農業の実現を目指してまいります。
39 ◯福地源一郎副議長 金子晃久議員。
〔14番金子晃久議員登壇〕
40 ◯14番金子晃久議員 御答弁にありましたように,本年度,基盤整備を進めていただきます常総市,私の地元である三坂地区でございますが,4年前の鬼怒川の決壊により,大きな被害を受けた地域であります。私の思いといたしましては,この基盤整備,そしてICTの実装により,活力のある農村地域,そして我々,そして子どもたちが元気に暮らしていける農村づくりを積極的に進めていける,まず一つのモデル地区として整備をしていただきますように,心からお願いを申し上げる次第であります。
続きまして,災害時の有料道路の無料措置についてお伺いをさせていただきます。
近年,全国的に自然災害の頻発・激甚化が著しく,復旧復興のやさきに新たな災害に襲われるなど,住民の生命や生活が脅かされる事態となっております。
本県においても,東日本大震災を初め,平成27年9月関東・東北豪雨も記憶に新しい中,本年は,台風を初めとした一連の記録的な暴風・大雨等により甚大な被害が発生したところであります。大
規模自然災害は常態化しており,もはや不測の事態とは言えず,迫りくる災害から住民の生命と財産を守るため,平時から災害の発生を前提として備えなければなりません。
そのため,多くの人的被害を出した災害を教訓に,人命を最優先に考え,台風などの危機が迫る際には,迅速に避難できる体制を整えていくことが必要であります。
道路は,その所在する市町村のみならず,県民の生活に密接に関連して,経済活動を支える重要な基盤として不可欠なものであり,災害時には避難経路として重要であります。
水海道有料道路や若草大橋有料道路等の有料道路については,現在,法令により,災害発生後の救助やボランティア活動では無料措置がされるということですが,台風の接近などに備え,迅速に避難する経路を確保するためにも,避難準備・高齢者等避難開始の発令時には,時を置かず,無料化できるようにしておく必要があるのではないかと私は考えております。
平成27年9月関東・東北豪雨災害の際には,水海道有料道路及び若草大橋有料道路周辺では,鬼怒川の氾濫や大雨特別警報が発令されるなど,これまでにない甚大な災害になりつつあったことから,無料化されたと聞いております。,今後は,緊急時における円滑な交通秩序の確立を図るためにも,近隣住民に積極的な避難を促すためにも,災害発生後では安全に避難場所に移動するのが難しい状況になっている可能性があることから,災害が想定される避難準備レベルからの速やかな無料措置が必要ではないかと考えております。
そこで,急迫する危険を避け,多くの人の円滑な避難を進めるため,避難経路となる有料道路においては,あらかじめ無料措置のルールを定めておくことが必要であると考えておりますが,土木部長の御所見をお伺いいたします。
この項目についての質問は以上です。
41 ◯福地源一郎副議長 伊藤土木部長。
〔伊藤土木部長登壇〕
42 ◯伊藤土木部長 災害時の有料道路の無料措置についてお答えいたします。
議員御案内のとおり,近年,全国的に自然災害が頻発化・激甚化している中,住民の生命や財産を守るためには,災害が発生した場合に住民避難が迅速に行えるよう,避難経路を確保することは重要であると認識しております。
一方,道路公社の有料道路につきましては,道路整備特別措置法の規定に基づき,道路を通行する車両から料金を徴収することとなっており,無料通行できる車両については,法令で定める緊急自動車や災害救助車両等に限られております。
一般車両を含めた無料措置の実施につきましては,通常,要請者が減収分を補填することが基本ルールであり,例えば,関東・東北豪雨時の対応につきましては,住民の円滑な避難や被災地域の速やかな復旧を支援するため,県から道路公社へ要請し,基本ルールにのっとり,県が減収分を補填することとした上で,水海道有料道路及び若草大橋有料道路について無料措置を実施したものであります。
このような有料道路の無料措置を実施する際には,その範囲,期間,減収補填額など細部については,災害の種類,規模,被害状況などを勘案して,事象ごとに対応を調整することが必要になります。
このようなことから,県といたしましては,無料措置を行う場合には,減収補填を行うなどの基本ルールを踏まえた上で,個々の災害発生時の被災状況等を速やかに把握することに努め,地元市町村等と連携し,必要に応じて適切な無料措置の適用を迅速に図ってまいりたいと考えております。
43 ◯福地源一郎副議長 金子晃久議員。
〔14番金子晃久議員登壇〕
44 ◯14番金子晃久議員 御答弁ありがとうございました。
有料道路,とりわけ水海道有料道路に限っては,4年前の水害の折,大変重要な避難経路,そして生命・財産を守るための大変重要なかけ橋となっておりました。しかし,今回の鬼怒川増水の折にも,有料道路の西側部分が多少冠水したこともあり,さまざまな安全確認をもとに,一刻も早く,生命・財産を守る有料道路の開放を,地元としてはぜひ望む限りであります。基本ルールにのっとり,さまざまな地元との検討を重ねた上で,今後想定される災害時にも円滑な無料開放を願うばかりであります。
続きまして,茨城のスポーツ振興についてお伺いをいたします。
本年,本県で開催されました茨城国体では,本県が45年ぶりとなる天皇杯・皇后杯を獲得するなど,県民に大きな夢と希望を与えてくださいました。
期間中は全国から多くの方々が本県を訪問し,相互に交流を深めるなど,活気に満ちたすばらしい大会となりました。残念ながら,全国障害者スポーツ大会は台風の影響により中止となりましたが,両大会の開催に向けて尽力された関係者の皆様,ボランティアとして協力してくださいました皆様,そして練習に励んできた選手の皆様にとって一生の記憶に残る貴重な経験となったことと思います。私も壮大な総合開会式や閉会式に臨ませていただいたり,郷土茨城の選手が活躍している姿を見て,とても感動を覚えました。
国体では,正式競技を初めとして,デモンストレーションスポーツ等,さまざまな競技が全44市町村で実施されました。今後は,地域における有効な資源として,国体での実施競技を地域に根づかせ,スポーツを地域資源の一つとして活用していくことや,県民へのスポーツ文化の裾野の拡大につながることが期待されております。
また,国体に向けての選手育成に当たっては,元気いばらき選手育成強化事業などにより,選手の発掘,育成,強化が行われ,本県選手の競技力の向上が図られてきたところであります。初心者向けの体験教室から発掘され,地道に育成された選手の活躍も見られたことで,スポーツが一部の選ばれた者だけのものではなく,県民に身近なものであるという機運を醸成することにもつながったのではないでしょうか。
今後は,国体向けに実施された事業の成果について,競技ごとの課題をしっかりと分析していただき,結果を検証していく必要があると考えております。
そこで,今年度開催された茨城国体や,来年度予定されている東京オリンピックが終了した後,地域でのスポーツ熱が冷めてしまうことを危惧する声もある中,国体での取り組みを一過性のものにせず,国体後の茨城のスポーツ振興を図り,継続的に選手を発見・発掘し,選手を育成するため,事業の成果を生かしていただきたいと思います。あわせて,事業で育成した選手が,今後は指導者として地域に競技を根づかせ,次の世代につないでいってほしいと願っております。
また,飛躍的に運動能力が伸びるゴールデンエージと呼ばれている小学5,6年生などを中心に,子どものスポーツ適性を専門的に分析し,その子に合った競技を選択できるようにしたり,トレーニングについてアドバイスできるような制度を設けるなど,将来に向けた人材育成の取り組みを継続して実施してほしいと考えているところであります。
そこで,スポーツが持つ人々に与える力を感じる中,国体やオリンピック後を見据えて,今後,茨城がスポーツ先進県となるよう,どのように考えていくのか,教育長にお伺いをいたします。
この項目についての質問は以上です。
45 ◯福地源一郎副議長 柴原教育長。
〔柴原教育長登壇〕
46 ◯柴原教育長 茨城のスポーツ振興についてお答えいたします。
いきいき茨城ゆめ国体におきまして,本県は45年ぶりに天皇杯・皇后杯の両賜杯を獲得することができましたが,このようなすばらしい成果が得られたことは,選手の頑張りはもちろんのこと,各競技団体を初め,関係者全てが一丸となって最大限の力を結集したたまものであると考えております。さらに,各試合会場で多くの県民の皆様が大きな声援を送っていただいたことも,選手にとって大きな励みとなり,本来の実力を,あるいはそれ以上の力を発揮する大きな原動力となったと考えております。
県では,今回の茨城国体に向けて,平成24年度から平成27年度までを選手の発掘・育成期,平成28年度から平成30年度までを強化期と位置づけ,計画的に選手の発掘・育成・強化に取り組んでまいりました。
ジュニア選手の発掘・育成では,オリンピック出場選手やすぐれた指導者等を講師として招き,体験教室や出前講座等を実施するいばらきスポーツアカデミー事業を展開し,茨城国体で活躍する可能性の高い選手の発掘や,競技人口の少ない競技の普及活動に取り組んでまいりました。
特に,カヌー競技やウエイトリフティング競技では,国体の会場予定地であった神栖市や高萩市で開催した体験教室に参加した当時の小学生が茨城国体では高校生となり,本県の代表選手として,それぞれの競技で見事に入賞し,天皇杯・皇后杯獲得に貢献するなど,これまでのジュニア選手発掘・育成の成果が実を結ぶ結果となりました。
また,選手強化においては,強豪県への遠征や合宿等を充実させ,よりレベルの高いチームとの強化試合を数多く行うなど,国体本番を見据えた強化を実施したことで,上位入賞を果たすために必要な大事な場面で勝ち切る力を身につけることができたと考えております。
このように,茨城国体に向けた選手強化策によって,高いレベルに押し上げられた本県の競技力を一過性のものとせず,今後も維持・向上させていくことが,スポーツ先進県となるためには重要だと考えております。
そのためには,茨城国体に向けて,競技力向上のために構築してまいりました,各市町村や地元大学など関係機関との連携を一層推進するとともに,選手の特性及び発達段階に応じた選手発掘のシステムをもとに,各競技団体による計画的・継続的な選手育成・強化のシステムを定着させることが必要であると考えております。
また,茨城国体で活躍したトップレベル選手の技術や経験は,本県にとりまして大きな財産でございます。これらの選手が今後,競技の体験教室や講習会等において,子どもたちに対して競技指導を行ったり,スポーツの楽しさを伝えていくことは,次世代で活躍する選手を生み出すきっかけとなるとともに,本県の競技力向上はもとより,競技人口の裾野の拡大にもつながるなど,
本県スポーツ界に好循環をつくり出していくものと考えております。
県といたしましては,茨城国体において取り組んできたジュニア選手の発掘・育成・強化のシステムを参考にしながら,全国大会等で活躍する選手を数多く育成するとともに,オリンピックを初めとした世界大会等で活躍するトップアスリートを茨城県から輩出し,県民に夢と感動を届けられるよう,選手育成・強化に努めるなど,本県のスポーツ振興に向け,取り組んでまいります。
47 ◯福地源一郎副議長 金子晃久議員。
〔14番金子晃久議員登壇〕
48 ◯14番金子晃久議員 御答弁いただきまして,ありがとうございます。
先ほど,国体の経験や実績,そして検証等,一過性のものにせず,進めていくという御答弁でありましたが,ぜひ具体的な事業として,茨城県をスポーツ先進県として位置づけていただきますよう,ぜひ御協力をよろしくお願い申し上げます。
最後に,学校現場のICT化促進についてお伺いをいたします。
今,私たちの身の回りでは,子どもから大人まで,仕事はもちろん,家庭でもパソコンやデジタル機器は生活必需品となっております。また,第4次産業革命の進展により,IT企業に限らず,さまざまな分野で,世界規模での需要に対応できる高度なIT技術を担う人材が求められているところであります。
しかしながら,世界のデジタル化の目覚ましい進歩にもかかわらず,日本では学校のICT環境整備が進んでおらず,OECDの調査によると,国際的に学校でのICT活用状況は加盟国中最下位レベルの水準にあります。
また,平成31年度全国学力・学習状況調査では,児童生徒に対する「授業でもっとコンピュータなどのICTを活用したいか」という問いに対しまして,小中学生とも8割の児童生徒が活用したいと答えている一方,実際の使用頻度を見てみると,ほぼ毎日使っているよという回答が1割以下でありました。子どもたちのICT活用への関心の高さに反して,児童生徒の関心に十分に応えられていないのが現状ではないでしょうか。
そうした中にあって,本県における学校現場での教育用コンピュータの整備状況は,平成30年度の調査によれば,小学校で6.3人に1台で全国第35位,中学校で5.8人で39位,また,高等学校でも4.5人に1台で30位と,いずれも他県にも大きくおくれをとっている状況にあり,日本一進んでいると言われております佐賀県など,1.8人に1台整備している県もある中,本県も早急にICT教育環境の整備を進める必要があると感じております。
学校におけるICT化により,一人一人の習熟度に応じて,誰一人取り残すことのない個別最適化された学びの場を提供でき,また,インターネットやデジタル教材を活用することで,主体的・対話的で深い学び(アクティブラーニング)の実現が可能になると期待をされております。
さらに,時間や場所にとらわれない遠隔技術の活用により,大学や海外等との連携授業や,病院に入院している子どもとクラスメイトをつないだ学びなど,さまざまな多様な学びの機会の確保にもつながってまいります。
あわせて,成績管理や事務作業などにも活用することで,教員の負担軽減により,学校での働き方改革の実現などのメリットも考えられますが,一方で,教育現場におけるICT環境の整備とともに,教える側の教員自身のITスキル,知識を高め,ICT活用指導力を向上させていくことも重要であります。
世界では,米国や中国などが,高度なIT人材の育成に国を挙げて取り組んでいるところであり,日本でも,経済対策に未来への投資を柱として掲げ,全国の小中学校で高速・大容量通信を整備し,1人1台のパソコン導入など,教育現場のICT化に本腰を入れて進めていくとのことでありますが,以上を踏まえた上で,本県のICT教育先進県の実現に向けた教育環境の整備について,今後どのように進めていくのか,教育長にお伺いをいたします。
この項目についての質問は以上です。
49 ◯福地源一郎副議長 柴原教育長。
〔柴原教育長登壇〕
50 ◯柴原教育長 学校におけるICT化促進についてお答えいたします。
AI等の技術革新が急速に進み,社会構造や雇用環境が大きく変化していく,これからの社会を生きていく子どもたちには,技術革新と価値創造の源となる飛躍的な知を発見する力や創造する力など,新たな社会を牽引する能力が求められております。
そのため,私たち教員には,子どもの多様性に向き合い,個に応じて最適な学びを可能にする個別最適化された学びを進めていくことが求められております。
令和2年度から小中高で順次実施される学習指導要領では,情報活用能力が,言語能力,問題発見・解決能力等と同様に,学習の基盤となる資質・能力と位置づけられるとともに,各学校において,コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段を活用するために必要な環境整備を整え,これらを適切に活用した学習活動の充実を図ることが明記されたことから,これからの教育では,小中高を通して,全ての児童生徒がプログラミングを含む全ての学習活動において,ICT機器をなお一層活用することが求められております。
そのため,今後,個別最適化された学びや遠隔教育などの先端技術を活用した教育を実現するためにも,児童生徒が1人1台の端末をいつでも利用することができる学習環境の早急な整備が課題となっております。
国においては,2018年度より,教育のICT化に向けた環境整備5か年計画に基づく地方財政措置を講じておりますが,それに加えて,先日,国の経済対策として,小中学生に1人1台のコンピュータを整備することが閣議決定されたことから,今後の国の予算編成を注視しているところでございます。
本県においては,市町村によって整備状況に違いがあることから,地方財政措置が有効に活用され,市町村におけるICT環境整備が計画的に進むよう,これまでも市町村向けに通知,あるいは市町村教育長会議等で周知し,理解を図ってまいりました。
さらに,本年7月に,つくばの義務教育学校において,ICT活用の公開授業を行った際に,各市町村の指導主事に加え,整備担当者にも参加していただき,ICT活用のモデルとなる授業を参観していただくことで,ICT活用の有効性や必要性を実感していただいたところでございます。
また,県立高校においては,パソコン教室の整備を進めつつ,協働的な学びに有効である授業支援システムや可動式端末の活用について,研究を進めているところでございます。
今後,国では,ことし6月に施行されました学校教育の情報化の推進に関する法律に基づき,令和2年度からの実施に向けて,学校教育情報化推進計画を策定することとしております。
県といたしましては,ICT環境の整備に関する国の動向や予算措置を注視しつつ,今後,国が策定を予定している学校教育情報化推進計画を踏まえながら,小中高を通して,ICTを基盤とした先端技術等を授業等で効果的に活用することで,新しい時代を生きる子どもたちの情報活用能力を育成するとともに,子どもたちの力を最大限に引き出す学びの実現を目指して着実に取り組んでまいります。
51 ◯福地源一郎副議長 金子晃久議員。
〔14番金子晃久議員登壇〕
52 ◯14番金子晃久議員 過日,OECDが行った学力調査で,日本は読解力で,前回8位から過去最低の15位に後退したという報道がございました。結果についてさまざまな議論がされておりますが,調査は,解答者,すなわち子どもたちがPCに入力する形で行われていることから,デジタル機材の操作になれていないことが影響したのではないかという指摘がなされております。実際に私も,チョークと黒板を目の前にして,しっかり紙に書くという解答をしている。テストでは,そういうようなことをして育った人間の一人であります。PCやスマホで表示されたものと紙に印刷されたものでは,頭に入ってくる感じが異なる印象を持っている者の一人でもあります。
政府は,令和5年度までに,小中学校の全ての児童生徒が1人1台のPCやタブレットを使える
環境づくりを進めるため,補正予算にデジタル・ニューディール政策関連予算を計上する方針と伺っております。紙で育ち,紙で生きてきたというのが私たちの世代ではありますが,今の子どもたちには,デジタル機材を自在に使うスキルを早い段階から習得してもらいたいものであります。
また,茨城県でも,市町村によりまして,使用できるPCが10人に1台というところと3人に1台というような偏差がある場所がございます。ぜひその辺を是正していただきまして,みんなが教育を受ける中で,PC,デジタル機材を自由に使える環境を整備してもらいたいと思っております。
以上でございます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
53 ◯福地源一郎副議長 暫時休憩をいたします。
なお,会議再開は,午後3時45分を予定いたします。
午後3時27分休憩
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
午後3時46分開議
県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑(続)
54
◯川津隆議長 休憩前に引き続き会議を開き,県政一般に関する質問並びに上程議案に対する質疑を続行いたします。
この際,申し上げます。
次の質問・質疑は,分割方式により行われます。
また,質問補助者が同席いたします。
なお,傍聴人の皆様に申し上げます。
傍聴人の拍手は禁止されておりますので,御留意願います。
西野一議員。
〔50番西野一議員登壇,拍手〕
55 ◯50番西野一議員 いばらき自民党の西野一でございます。
初めに,このたびの台風第19号によりお亡くなりになられた方々の御冥福をお祈り申し上げますとともに,被害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
また,今定例会に当たり,一般質問の機会を与えていただきました先輩議員,同僚議員の皆様方に対しまして,お礼を申し上げます。
今回の質問は,県北振興を中心としていますが,それぞれの部局が横断的に運営することで,効率的に推進できると信じて質問させていただきます。
それでは,通告に従い,順次,質問してまいりますので,知事初め,執行部の皆様におかれましては,明快なる御答弁をお願いいたします。
初めに,MaaSを核とした県北振興についてお伺いいたします。
県北地域,中でも中心都市の日立市は,日立製作所を初めとする高い技術力を誇る関連企業が数多く立地するなど,製造業を中心とした企業城下町として発展してきたところであります。
また,近年においては,東京ガスがLNG基地を開設するなど,この地域の将来に向けて,新たな発展可能性も見えてきたところでもあります。
その一方で,製造業の海外移転による事業者の減少と高齢化の進行により,大幅な人口減少が見込まれているほか,移動手段として自家用車に大きく依存しており,
主要幹線道路での慢性的な渋滞の発生といった社会問題を抱えた地域でもあります。
また,日立市内は,南北に長く施設が分散し,団地が山側に多いなど地形的な問題があり,さらには,高齢者等の移動弱者の増加といった問題が喫緊の課題となっている地域でもあります。
このような中,国では,地域交通の課題解決のため,路線バスやタクシー,鉄道,BRTなど,自家用車以外の交通機関による移動を一つのサービスとし,検索・予約・利用後の決済までをワンストップでできる日本版MaaSの実現に向けた取り組みを始めており,現在,国土交通省の新モビリティサービス推進事業の先行モデル事業に,全国19カ所の一つとして,日立地域のBRTを中心に実証実験が進められております。
MaaSが実現すれば,スマホアプリを通し,バス,タクシー,デマンド交通など,複数の移動手段をシームレスに組み合わせることができ,公共交通の利便性が向上し,渋滞解消や高齢者の移動手段の確保などにつながることが期待されます。
さらには,高齢者の外出がふえ,地域の高齢者が元気になり,買い物や飲食など地域経済への波及など,MaaSの取り組みが県北地域の振興にもつながることが期待できるところでもあります。
こうした実証実験は,住民や行政を初めとする関係者がこの地域の将来像を考える絶好の契機となり,環境負荷の少ないエコで,シームレスな地域社会を構築する初めの一歩になるのではないかと考えております。
また,ひたちBRTにおいては,昨年,国の事業として小型バスの自動運転実証実験が行われました。そこで,MaaSの一部に自動運転バスを導入することや,決済方法にSuicaを導入することなどで,全ての交通機関がシームレスに利用できるようになります。
県内では,日立地域とともに,つくば地域も取り組みを進めており,両地域の先進的な取り組みの県内への進展を進めることが重要と考えております。
さらに,将来的には,東京ガスのLNGから精製できる水素を活用した水素ステーションや燃料電池バスの導入など,国内でも先進的な取り組みとなるエコ社会の実現も視野に入れ,MaaSのモデルを構築し,これを県北地域全体に広げていくなど,この地域の夢のある将来像を思い描いていくべきではないかと考えております。
そこで,このように,MaaSにはさまざまな可能性を感じるところでありますが,まず,県として,MaaSについて,今後どのように取り組んでいこうとしているのか,知事の御所見をお伺いいたします。
この項目の質問については以上です。
56
◯川津隆議長 西野一議員の質問・質疑に対する答弁を求めます。
大井川知事。
〔大井川和彦知事登壇〕
57 ◯大井川和彦知事 西野一議員の御質問にお答えいたします。
MaaSを核とした県北振興についてお尋ねをいただきました。
MaaSにつきましては,スマートフォンのアプリ等を介して,鉄道やバス,タクシーなどの検索・予約・決済機能等を一体的に提供するサービスであり,これに小売業や観光,医療・福祉などの非交通サービスを連携させることにより,地域交通の課題解決のみならず,生活サービスの向上や地域の活性化にもつながることが期待されております。
こうしたMaaSを初めとするICTやAIを活用した新たな技術やサービスは,県北地域のような公共交通の維持・確保が難しい地域には,特に導入効果が期待されるところであります。
このため,県におきましては,これまで,交通事業者や市町村等に対し,MaaSや自動運転,ICT等を活用したデマンド交通の配車システムなどの導入事例の紹介や,システム事業者と市町村とのマッチング等を支援するとともに,日立地域におけるMaaSの実証実験にも,関係者で構成する協議会に参画しているところであります。
日立地域の実証実験においては,現在,地域での最適な移動手段やルートを検索・予約できるMaaSアプリの開発が進められており,今後は,開発したアプリを活用し,住宅団地に相乗りタクシーを運行させ,BRTバスに接続させるなど,MaaSを活用したサービスの利便性や採算性を検証しようとしております。
また,ひたちBRTは,国の中型自動運転バスの実証地域にも選定されたところであり,来年度に実証実験を行う際にも,MaaSアプリの活用を考えているところであります。
一方,MaaSの取り組みは,全国的にもまだ実証段階が多く,システムも確立していない状況にあり,日立地域においても,キャッシュレス決済への対応や高齢者が利用しやすいアプリの提供,鉄道路線と連携したシステムの構築といった課題もございます。
このようなことから,県といたしましては,日立地域やつくば地域におけるモデル事業の成果や全国のMaaSの動向等も踏まえながら,市町村や交通事業者等に対して,公共交通空白地域への新たなモビリティ導入などとあわせて,MaaSの導入を働きかけ,県北地域を初め,県内各地域においてシームレスな移動
環境づくりに取り組んでまいります。
58 ◯50番西野一議員 再質問します。
59
◯川津隆議長 西野一議員。
60 ◯50番西野一議員 知事に再質問いたします。
MaaS導入を進めるに当たっては,高齢者等がシームレスに利用できるよう,運賃の決済方法についても検討していく必要があると思っています。例えば,Suicaのような全国で相互利用可能な,カード1枚で移動・決済できるものがあれば,移動の利便性は格段に高まるものと思っています。
しかしながら,県内には,導入費用などの面から,Suicaなど全国で相互利用可能なカードを導入していないバス事業者もあり,地域の高齢者等の利用者だけでなく,地域外からの観光客にとっても不便な状況にあります。
県内の交通機関を1枚のカードで移動することができるようになれば,県北地域にインバウンドを引き込むためにも有効であると思われます。
また,Suicaなどは買い物にも利用でき,よりシームレスな環境になっていくと思っております。
そこで,県として,Suicaなどを導入していないバス事業者に対し,積極的にその導入の支援を行っていくべきと考えますが,知事の御所見をお伺いいたします。
61
◯川津隆議長 大井川知事。
〔大井川和彦知事登壇〕
62 ◯大井川和彦知事 再質問にお答えいたします。
議員御指摘のとおり,Suicaなど全国で相互利用が可能な交通系ICカードが本県の全ての交通機関で使えるようになることは,高齢者を初め,利用者の利便性の向上につながるものと考えおります。
一方,Suica等を導入していないバス事業者からは,その導入に当たっては,決済機器やシステム等の初期投資,その後の維持管理費などの費用負担や,独自の運賃割引サービスなどを盛り込めないことなどが課題であると聞いております。
このような中,JR東日本におきましては,現在,各種割引サービスなど地域の交通事業者独自のサービスとSuicaのサービスを1枚のカードで利用可能な地域連携ICカードの開発を進めているところであり,宇都宮地域においては,2021年の春のサービス提供開始を目指しているところであります。
県といたしましては,このような宇都宮地域の動向などを見きわめつつ,バス事業者の意向等を踏まえながら,国の補助制度等の活用など,必要な支援の可能性について検討していきたいと思っています。
63 ◯50番西野一議員 再質問します。
64
◯川津隆議長 西野一議員。
65 ◯50番西野一議員 知事に再質問いたします。
国の新モビリティサービス推進事業においては,日立地域など全国19カ所のMaaSの実証実験が選定されており,それぞれが今,取り組みを進めているところであります。
中でも,静岡県の伊豆エリアでは,JR東日本と東急電鉄において,国内外の観光客が駅や空港からの二次交通をスマートフォンなどで検索・予約・決済し,目的地までシームレスに移動できる観光型MaaSの実証実験に取り組んでいるところであります。
本県に国内外からの観光客を呼び込むために,このような取り組みを参考にしながら,県内の観光地においてMaaSの導入に取り組んでいく必要があると考えますが,知事の御所見をお伺いいたします。
66
◯川津隆議長 大井川知事。
〔大井川和彦知事登壇〕
67 ◯大井川和彦知事 お答えいたします。
インバウンドを含め,本県への観光客に対して,目的地までの移動手段を初め,地域の観光情報や周遊ルート等,的確に情報提供していくことは非常に重要だと考えられます。
このため,観光型MaaSの活用につきましては,伊豆エリアなどの実証実験において,観光客の利便性向上や,実証エリアの観光振興等に一定の効果が見られる場合には,本県においても積極的に検討していきたいと考えております。
68
◯川津隆議長 西野一議員。
〔50番西野一議員登壇〕
69 ◯50番西野一議員 御答弁ありがとうございました。
MaaSは,エコでシームレスな仕組みづくりが大切であります。JRなど,一緒に組むべき組織の選定も大きな課題であります。
先月末には,あのトヨタが西鉄,JRと組んで,運用から決済までワンストップでできるmy route(マイルート)というプラットホームの運用が福岡・北九州地域で本格的に始まりました。
ぜひ知事の信条である,失敗を恐れず,
スピード感を持って,検討をよろしくお願いいたします。
次に,インバウンド誘致に向けた取り組みについてお伺いいたします。
まず,茨城空港の利活用の推進についてです。
茨城空港は,これから茨城県内へのインバウンドを伸ばすための重要なところであり,今後,茨城空港を首都圏のゲートウェイとして利活用していく上では,空港の知名度をさらに上げる必要があると考えます。
知名度を上げるため,東京の近くであるということをもっとアピールしたほうがよいのではないでしょうか。そのアピールに一番簡単な方法としては,茨城空港の愛称に「東京」という言葉を入れ,東京都の近接性をアピールすべきであると考えております。
私は,茨城空港の愛称の変更について,1年前から常任委員会等で発言してきたところであります。
来年は東京オリンピック開催,そして茨城空港アクセス道路の国道6号から茨城空港への延伸も予定されているため,東京へのアクセスも向上し,茨城空港がさらに飛躍するチャンスだと考えております。
例えば東京北空港または東京小美玉空港,東京茨城空港など,言い方はいろいろ考えられますが,東京の名前を冠することにより,東京に近いということをあえて説明する必要はなく,首都圏第3の空港とわかります。空港の知名度を容易に上げることができます。
海外に目を向けると,同じ島国のイギリスでは,ロンドン周辺の空港の名前は,ロンドン・ヒースロー空港,ロンドン・ガトウィック空港,ロンドン・スタンステッド空港,ロンドン・ルートン空港,ロンドン・シティ空港と,5つある空港全てにロンドンの名前がついております。
茨城空港についても,これからもう一段飛躍するときに必要なのはネーミングではないでしょうか。ぜひ東京を前面に出していただきたいと考えおります。
また,東京オリンピックに向けて,1年間に限定して愛称を変更することもあり得るのではないでしょうか。
そこで,インバウンド対策として,来年の東京オリンピックに限定した変更も含め,茨城空港の愛称変更について,知事の御所見をお伺いいたします。
次に,外国語表記の推進についてお伺いいたします。
近年,外国からの訪日外国人旅行者,いわゆるインバウンドの旅行者が大幅に増加しております。本年開催されたラグビーワールドカップでは,自国チームを応援するため,多くの外国人ファンが来日し,日本チームの活躍もあって,大いに盛り上がったのは記憶に新しいところです。
東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年には,より多くの外国人旅行者が来日することが予想され,国では,訪日外国人数4,000万人を目標に掲げ,さまざまな施策に取り組んでおります。全国各地の観光地において,訪日外国人旅行者がストレスフリーで快適に旅行できる環境を整備するため,外国人観光案内所の機能強化などの支援を行っていると聞いております。
こうした取り組みにより,現在,多くの外国人が来ていた地域はもとより,これまでほとんど訪日外国人旅行者が来ていなかった地域にも多くの旅行者が来る可能性があり,地方にとってはまさに絶好の機会だと考えております。
「世界一訪れたい日本のつくりかた」の著者で,株式会社小西美術工藝社社長のデービッド・アトキンソン氏は,その著書の中で,日本のことを全く知らない外国人に対して日本の魅力を発信し,新しいファンになってもらうためにも,まず整備を充実させてから情報発信に取り組むべきと述べております。私もこの考え方に共感するところであります。
訪日外国人旅行者が訪問場所を決める際に重視する分野の一つは,歴史や文化だと聞いておりますが,その視点で考えたとき,最も重要になるのが,案内標識などのサインではないかと私は考えております。
アトキンソン氏は,解説は,誰のために,何を伝えるべきか,何を理解してほしいかを考える視点が大切,そして情報はネイティブにつくってもらい,必ずSo What?テストをすることが必要であると述べられています。
京都にある二条城では,アトキンソン氏のアドバイスを受けながら外国語表記を推進し,先進事例として高い評価を受けていると伺っております。本県の観光施設においても,こうした先進事例を参考に,外国語表記を推進していくべきではないかと考えます。
そこで,インバウンド対策として外国語表記をどのように推進していくのか,営業戦略部長の御所見をお伺いいたします。
この項目の質問については以上です。
70
◯川津隆議長 大井川知事。
〔大井川和彦知事登壇〕
71 ◯大井川和彦知事 インバウンド誘致に向けた取り組みについてお尋ねをいただきました。
まず,茨城空港の利活用の推進についてでございます。
茨城空港は,平成22年3月の開港から間もなく10年を迎え,昨年度の旅客数が過去最高の76万人を超えるなど,順調に推移しております。
国際線につきましても,昨年度は台北,ソウル,今年度に入ってからは,中国の西安,長春に続き,今月からは福州に就航するなど,新たな路線の就航が相次いでおります。
私自身,茨城空港の路線誘致において,航空会社へのトップセールスを行う際に,茨城空港の特徴や観光資源とあわせ,東京への近さをアピールしてまいりました。
議員から御提案のありました愛称の変更につきまして,有識者の御意見をお伺いしましたところ,エアポートセールス上必要であれば,海外向けには「東京」という言葉を取り入れ,状況に応じて使い分けていくことも考えられるのではないかとのことでございました。
今後,人口減少・少子高齢化の進展で,地域間競争がますます激しくなってまいりますことから,東京に近い優位性をアピールして茨城空港を御利用いただき,さらに県内を周遊していただくことにより,県内経済への裨益を確保していくことは大変重要となってまいります。
また,来年には東京オリンピックが開催され,本県においても,カシマサッカースタジアムにおいてサッカー競技が行われるなど,海外から多くのお客様が来訪されることが見込まれます。
県としましては,より一層の国際線の誘致に向け,「東京」といった言葉を取り入れた愛称を使用することのメリット,デメリットを整理した上で,愛称の変更についての検討を進めてまいります。
72
◯川津隆議長 堀江営業戦略部長。
〔堀江営業戦略部長登壇〕
73 ◯堀江営業戦略部長 外国語表記の推進についてお答えいたします。
東京オリンピック・パラリンピックの開催を来年に控え,一層の外国人観光客の増加が見込まれる中,県におきましては,国・地域によって異なるニーズや,個人旅行者の増加などに対応した戦略的なプロモーションを展開し,海外からの誘客促進に取り組んでいるところでございます。
また,こうしたインバウンド需要を確実に取り込み,本県観光への満足度を高めていくためには,外国人観光客が快適に滞在できる環境整備を図ることが大変重要であると認識しております。
特に,多言語による外国語表記につきましては,観光庁が訪日外国人旅行者を対象に行ったアンケート結果において,旅行中困ったことの第2位に,多言語表示の少なさ・わかりにくさが挙げられておりますことから,わかりやすく魅力的な多言語表記を進めていくことが必要となってまいります。
そのため,県といたしましては,県観光物産協会に配置する外国人スタッフを活用し,観光事業者が作成する案内板やパンフレット等の翻訳支援を行いますとともに,昨年度創設した外国人観光客受入環境整備補助金の活用を図りながら,県内の多言語表記を初めとする受け入れ環境の整備を支援してまいりました。
しかしながら,主要観光施設44施設における誘導案内サインや解説板等の多言語表記の整備状況はまだ十分とは言えない状況にあります。効果的な多言語表記の整備を進めていくためには,まず,各施設の整備状況や課題等を把握しますとともに,外国人目線で整備内容を検証していく必要があると考えております。
議員御指摘の京都の二条城を初め,栃木県の日光国立公園や奈良県の春日大社などにおいても,日本の歴史や文化についての知識がない外国人観光客にも理解しやすいよう,案内板やパンフレット等における解説内容を工夫しますとともに,翻訳に当たっても,日本語からの直訳ではなく,ネイティブスピーカーが行うなど,先進的な多言語化が進められており,訪れた外国人観光客から高い評価を得ています。
今後,県内の多言語表記がより外国人にわかりやすいものとなるよう,市町村や主要観光施設に対し,こうした他地域における成功事例を具体的に示しますとともに,観光庁の地域観光資源の多言語解説整備支援事業により,わかりやすく魅力的な多言語解説文を作成できるネイティブ専門人材の活用を図るなど,効果的な多言語表記の整備について,積極的に働きかけを行ってまいります。
一方で,県内の多言語表記の整備促進を図るためには,県が率先し,県有施設において,他のモデルとなるような多言語表記を進めていく必要があると考えております。
現在,県におきましては,偕楽園・歴史館エリアの観光魅力向上や,フラワーパークのリニューアル等が進められております。いずれも本県観光の拠点施設であることから,これらの施設において,インバウンド誘客推進の視点も踏まえ,他施設の参考となる,外国人観光客にとってわかりやすく魅力ある多言語表記の整備を進めてまいります。
県といたしましては,関係部局はもとより,市町村や観光事業者との連携を強化しながら,多言語による外国語表記の整備を進め,外国人観光客の一層の誘客促進を図ってまいります。
74 ◯50番西野一議員 再質問します。
75
◯川津隆議長 西野一議員。
76 ◯50番西野一議員 知事に再質問いたします。愛称の変更についてですが,今後どのようなスケジュール感で検討していくのか,また,愛称を変更する場合,来年の東京オリンピックに限定したものになるのか,知事の御所見をお伺いいたします。
77
◯川津隆議長 大井川知事。
〔大井川和彦知事登壇〕
78 ◯大井川和彦知事 来年には開港10年を迎え,さらに東京オリンピックが開催されるということでございますので,検討に当たっては,そういうスケジュールを念頭に置いたスピーディーな検討を行いたいと思っております。
また,その愛称について,よい成案をもし採用するということになれば,東京オリンピック期間に限定することなく,地域経済の発展のために必要な愛称ということで考えることも可能ではないかと考えております。
79
◯川津隆議長 西野一議員。
〔50番西野一議員登壇〕
80 ◯50番西野一議員 前向きな御答弁ありがとうございました。
スピード感のある取り組みをよろしくどうぞお願いいたします。
そして外国語の表記についてですけれども,直訳ではない,わかりやすい言葉でということをお願いいたします。
そして,フラワーパークのような整備の整ったところから順次活用することをお願いして,次の質問に移らせていただきます。
次に,大規模水害に備えた取り組みについてお伺いいたします。
まず,住民の避難対策についてです。
今般の台風第19号では,那珂川や久慈川の複数箇所の堤防が決壊し,県北地域を中心に,広範囲に浸水被害が生じ,死者2名,行方不明者1名などの人的被害や,3,000棟を超える住家被害が発生しました。
また,多くの市町村では,台風の接近に備え,避難勧告等を台風が上陸する前日から出していたものの,多くの人が自宅にとどまり,避難されなかった300名以上の方々が,自衛隊や警察,消防のヘリコプターやボート等により救助されました。
今回の避難対策については,検証をしっかりと行い,今後の災害対策に反映させる必要があります。さらに,県民の皆様には,大規模水害から迅速・的確に避難行動をとっていただくことが何よりも重要であると考えております。
迅速・的確な避難行動を行う上では,地域の災害リスクを正しく理解しておく必要があります。中でも,市町村が作成しているハザードマップが特に重要な情報であると考えます。
今回の台風では,私の地元常陸太田市内の浅川が氾濫した地点で3メートル程度の浸水被害が発生し,これまでに経験したことのない被害に驚きました。しかし,被災後に改めて常陸太田市のハザードマップを見ると,この地点では最大10メートルの浸水被害が想定されており,そのことを知り,さらに驚いたところであります。
また,ハザードマップには,河川の氾濫により家屋の倒壊のおそれがある区域も示されており,浸水が起こる可能性や家屋被害の危険性を事前に把握することが可能となっております。
私は,こうした情報については,県民の皆様がまだ十分に理解できていないのではないかと強く危惧しており,県や市町村が周知徹底を図る必要があると考えております。
また,こうした家屋の倒壊のおそれがある区域に住む方々には,台風の接近など大規模な水害に備え,まず誰よりも早く避難行動をとる必要があります。県では,個人の防災行動計画となるマイ・タイムライン等の作成を,ワークショップの実施により推進していますが,この作成には誰にでもつくれる簡易版をつくることも必要と考えます。
さらに,今後,こうした区域に居住を希望する方々に対しては,当該区域の災害リスクをしっかりと伝え,場合によっては,災害リスクの少ない区域を勧めることも,防災対策だけでなく,まちづくりなど,さまざまな観点から有益ではないかと考えております。
そこで,今回の経験を踏まえ,今後の大規模水害に備えるため,特に浸水被害が予測される区域内の住民に対する避難対策をどのように進めていくのか,防災・危機管理部長にお伺いいたします。
次に,中小河川の治水対策についてお伺いいたします。
先ほどの質問にもありましたように,記録的な大雨をもたらした台風第19号により,県内の複数の河川で堤防決壊や越水が相次ぎ,各地に大規模な住宅浸水が広がりました。
今回の水害において,本川へ合流する付近の中小河川では,本川から支川に逆流するバックウォーター現象が氾濫の原因とも言われております。
バックウォーター現象の対策としては,堤防の強化などが考えられますが,県が管理する中小河川については,県の整備だけでは限界があるので,国が管理する本川と一体的に整備する必要があると考えております。
また,県内中小河川においては,避難の状況判断などのための水位計の設置が進んでおらず,洪水時における河川水位等の現況把握が困難であることから,水位把握の必要性の高い河川においては,水位計を設置することも必要であると考えております。
今回の台風において,大子町内では,久慈川や押川などの越水により,浸水被害が大きく広がりました。常陸太田市内においても,久慈川の支川浅川や里川の2河川が決壊し,その他の河川においても,越水などにより,沿川地域で甚大な被害を受けました。
決壊した箇所については,早急に原因解明を行い,その対応方針を示していただくとともに,国に対して予算を要求し,河川改修予算の確保に努めていただきたいと思います。
また,今回の水害により,堤防の決壊や越水が発生する前に,住民の方々に避難していただくことが大変重要であると改めて認識したところでもあります。
そこで,今回,被害を受けた浅川,里川,茂宮川などを含む中小河川の現在の復旧状況と今後の治水対策について,土木部長にお伺いいたします。
この項目の質問については以上です。
81
◯川津隆議長 服部防災・危機管理部長。
〔服部防災・危機管理部長登壇〕
82 ◯服部防災・危機管理部長 大規模水害に備えた取り組みについてお答えをいたします。
まず,住民の避難対策についてでございます。
今回の台風第19号では,多くの河川で堤防の決壊や越水などが発生し,県内各地で広範囲にわたり甚大な浸水被害が発生いたしました。
こうした大規模水害が発生した際に,被害を最小限にとどめるためには,ハード対策を着実に進めていくとともに,県民の防災意識の向上を図ることなど,ソフト対策に取り組んでいくことが大変重要であります。
このため,県では,本年度,市町村がちゅうちょなく避難勧告等を発令できるよう,避難勧告等の発令に係る基本的考え方を提示するとともに,避難勧告等発令判断支援班を設置し,早期の避難勧告等の発令を市町村に働きかけてきたところであり,今回の台風第19号では,41の市町村において早期に避難勧告等が発令されたところでございます。
また,住民一人一人が住んでいる地域の災害リスクを正しく理解し,避難意識を高め,水害時に迅速・的確に避難行動をとることが大変重要であります。
このため,県では,これまで,災害発生の危険度の高い地域の住民を対象に,ハザードマップを活用し,地域の危険箇所などを確認するマイマップや,個人の防災行動計画となるマイ・タイムライン等を作成するワークショップを,台風シーズンの前までに集中的に実施してまいりました。
しかしながら,今回の台風第19号では,300人を超える方々が逃げおくれ,自衛隊などにより救助されたところでございます。
逃げおくれた理由につきましては,過去にそこまで大きな被害がなかったため,今回も大丈夫だと思っていた,あるいは自宅の2階に逃げれば大丈夫だと判断したなどが挙げられており,災害リスクについての認識がまだ十分ではないと考えております。
このため,県といたしましては,引き続き,マイ・タイムラインの作成ワークショップを実施してまいりますとともに,ワークショップの実施に当たっては,参加者の住宅がどの程度の深さまで浸水するかなどを具体的に御説明し,浸水被害の危険性を実感していただくよう工夫してまいります。
また,ハザードマップに記載されている家屋倒壊のおそれがある区域や,浸水が継続する時間などにつきましても,参加者に正しく理解していただくよう,丁寧に説明してまいります。
さらに,従来から行ってまいりました総合防災訓練の内容を大幅に見直し,避難訓練とマイ・タイムラインの作成を組み合わせるなど,より実践的な取り組みを進めてまいります。
なお,マイ・タイムラインの作成支援につきまして,議員から,誰にでもできる簡易版も必要との御意見をいただきました。県といたしましては,今後,まず,例えば,高齢者の方や小学生などが一人でも,自分で考えながら作成できるよう,具体的な記載例をわかりやすく提示するなど,マイ・タイムラインが一層普及するよう取り組んでまいります。
また,浸水や家屋倒壊のおそれのある地域に居住を希望される方々に対し,災害リスクの少ない区域を勧めてはとの御意見をいただきましたが,こうした地域にお住まいの皆様や居住を希望する皆様に対し,地域の災害リスクを正しく理解していただけるよう,市町村とともに,これまで以上に丁寧に説明してまいります。
県といたしましては,これらの取り組みを通じて,大規模水害からの被害を最小限にとどめることができるよう,避難対策の強化を図ってまいります。
83
◯川津隆議長 次に,伊藤土木部長。
〔伊藤土木部長登壇〕
84 ◯伊藤土木部長 中小河川の治水対策についてお答えいたします。
今回の台風第19号における国及び県管理河川の被害状況につきましては,大子町において久慈川や押川で護岸崩壊等が発生したほか,常陸太田市内の浅川と里川では堤防決壊や護岸崩壊等が多数発生するなど,県内65河川149カ所において施設被害が発生しました。
このうち,堤防決壊箇所など,全ての被災箇所について応急復旧が完了しており,今後,国の災害査定を経て,出水期である6月までには,被災前の安全度を確保するための本復旧を進めてまいります。
なお,本復旧に当たりましては,有識者の御意見を伺い,被災の原因究明をした上で,対策方針を決定し,それに沿って実施していくこととしております。
まず,浅川につきましては,国の那珂川・久慈川堤防調査委員会において,久慈川合流部に近い常陸太田市松栄町地先で発生した堤防決壊について,決壊原因の特定と復旧方針がまとまったところであり,今後,国の権限代行により本復旧を進めてまいります。
また,里川につきましては,常陸太田市茅根町地先や常福地町地先で堤防決壊が生じており,県において,国の復旧方針も参考にして,堤防強化対策を含めた河川整備計画の見直しを行い,復旧・復興を進めてまいります。
一方,茂宮川につきましては,引き続き,河口部からの河川改修を進めるとともに,本来の治水機能を発揮させるため,河道内の堆積土砂撤去や樹木伐採を行うなど,適切な維持管理に努めてまいります。
河川事業の予算につきましては,国の防災・減災,
国土強靱化のための3か年緊急対策の交付金や補正予算などを最大限に活用するなど,予算確保に努めてまいります。
こうしたハード対策を着実に進めていくとともに,県民の防災意識の向上を図るためのソフト対策に取り組むことも重要であると考えております。
そのためには,住民一人一人がみずから迅速に避難行動ができるよう,水位計や河川監視カメラを増設するとともに,浸水想定区域図を作成し,ハザードマップやマイ・タイムラインの作成支援を行うなど,ソフト対策の充実にも努めてまいります。
県といたしましては,浸水被害の軽減を図るため,国が管理する本川と一体的に支川の整備を行っていく必要があるため,引き続き,国と連携して中小河川の整備を推進するとともに,ソフト対策にも取り組み,流域住民の安全安心の確保に努めてまいります。
85
◯川津隆議長 西野一議員。
〔50番西野一議員登壇〕
86 ◯50番西野一議員 御答弁ありがとうございました。
住民の避難対策においては,ハザードマップ,そしてマイ・タイムラインの簡易版など,身近な方法として住民に周知徹底を図ることで安心安全につながると信じています。よろしくお願いいたします。
また,まちづくりの居住誘導地域へのインセンティブなども有効な方法であるので,検討をお願いいたします。
中小河川の治水対策においては,水位計の設置,よろしくお願いいたします。
また,長い間,河川課予算は本当に厳しいものでした。だからこそ,この機会にきちんと予算を要望し,予算に組み込むことを要望して,次の質問に移らせていただきます。
次に,学校給食における主食の安定供給についてお伺いいたします。
学校給食については,本県では,市町村や茨城県学校給食会などの関係者の尽力により,全ての公立小中学校で実施されており,本県の児童生徒は,主食,主菜,副菜がそろったおいしい給食を食べることができているところであります。
また,学校現場においては,地元でとれたお米を給食に使ったり,生産者の方を学校に招くなどの取り組みが行われており,児童生徒の食べ物への感謝の気持ちを育てるなど,食育のためにも,学校給食は非常に重要であると考えております。
一方で,学校給食に米飯やパン・麺を提供する主食業者が減少している状況にあり,例えば,学校給食にパンを提供する業者は,平成10年から平成30年までの20年間で半分にまで減っている状況であります。
児童生徒数が今後も減少していくことが見込まれる中で,主食業者の中からは後継者がいないことに悩む声も聞かれており,近隣県から主食が提供されている地域もあります。このままでは,将来的に主食業者が撤退した際に,主食が提供できなくなるなど,問題が生じる可能性が危惧されております。
このことから,私は,平成30年第4回定例会において,学校給食における主食業者が減少していることについて質問しました。
その際,教育長から,関係の団体に対して,給食がきちんと維持できるよう,食材の提供なども含めて,市町村と情報共有できるように,その検討の場を設けることなどについて働きかけていくという答弁があったところであります。
現在も,学校給食における主食の提供については,業者の方の高齢化や
後継者不足などの問題があり,将来的にも安定的に提供を続けていくことが危ぶまれている状況にあります。
そのような中でも,先ほど申し上げたとおり,学校給食は児童生徒の健全な発達のために重要であり,今後も食育を充実させていくために,市町村がしっかりと実施していく必要があると考えております。
このことから,県として,充実した学校給食を安定的に提供していくためにどのように取り組んでいるのか,さらに,今後,県としてどのように対応していくのか,教育長にお伺いいたします。
この項目の質問については以上です。
87
◯川津隆議長 柴原教育長。
〔柴原教育長登壇〕
88 ◯柴原教育長 学校給食における主食の安定供給についてお答えいたします。
学校給食は,学校給食法に基づき,小中学校の設置者である市町村がそれぞれの実情に応じて実施しておりますが,現在,主菜や副菜などを組み合わせ,栄養バランスのよい食事が提供されているところでございます。
しかしながら,学校給食に米飯・パン・麺を提供する主食業者は,主食の種類によって差はございますが,高齢化や
後継者不足,あるいは設備の老朽化のほか,少子化などの社会情勢の変化に伴い,減少してきている状況がございます。このことが,学校給食における主食の安定供給に影響を及ぼすことが心配されるところでございます。
その中で,今後も現在の充実した学校給食を維持していくためには,まずは,市町村が,主食提供を取り巻く状況を把握し,共通の認識を持つことが必要でございます。
このことから,県では,学校給食会と連携して全国調査等を行うなど現状の把握に努め,その結果を踏まえて,本年6月に,市町村の学校給食担当者等を対象とする研修会において,主食業者を取り巻く状況について説明を行ったところでございます。
さらに,8月には,市町村の担当課長などを対象に,学校給食会の役員らとともに情報交換会を開催し,市町村それぞれの考え方や主食の安定供給における課題の詳細などについて,情報を共有する場を設けたところでございます。
こうした機会を通じて,小中学校の設置者である市町村や県,学校給食会の間で,現在の状況の共通認識が図られるとともに,危機感を共有することができたと考えております。
また,それと並行して,産業戦略部と連携し,主食提供業者が経営改善に向けた悩みなどを専門家に相談できる窓口や,経営安定のために活用できる既存の融資制度等について,学校給食会を通じて主食業者への情報提供にも努めているところでございます。
一方で,給食の提供食数,給食センターか自校給食かなどの提供方式,あるいは炊飯設備の整備状況,主食業者の立地の有無なども含め,市町村の状況はさまざまでありますことから,まだまだ市町村間で意識に差がございます。
このことから,今後も主食業者を取り巻く状況を共有し続けることは,市町村が将来にわたり学校給食をしっかりと実施していく上で必要なことと考えております。
そのため,県といたしましては,引き続き,学校給食会と連携して,主食業者の状況などについて把握に努めながら,機会を捉えて市町村等の関係者と情報を共有してまいります。
加えて,市町村が,主食の安定供給について,より課題意識を持ち,今後の学校給食についてみずから考えることができるよう,市町村の担当者はもとより,市町村教育長にも,改めて現在の状況を説明するなどして,可能な限り市町村における主食の安定供給に協力をしてまいります。
89 ◯50番西野一議員 教育長に再質問します。
90
◯川津隆議長 西野一議員。
91 ◯50番西野一議員 県,市町村,給食会による情報共有を踏まえ,将来的にも主食を安定的に供給するためには,中長期的な考え方が大事だというふうに思っております。その中長期的な考えを見据えた対応を今からでもとっていく必要があると考えておりますが,例えば,一つの案として,提供が難しくなる地域があっても提供することができるよう,関係者がさまざまな可能性を模索し,有効な対応をとっていく必要があると思いますが,県としてどのように考えているのか,教育長にお伺いいたします。
92
◯川津隆議長 柴原教育長。
〔柴原教育長登壇〕
93 ◯柴原教育長 再質問にお答えいたします。
主食の安定供給につきましては,現在の学校給食会がその中心的役割を担っておりまして,業者が撤退した場合におきましては,学校給食会が既設の業者と調整しながら,広域的に提供している例もございます。
そのため,今後,学校給食に主食を安定して供給していくためには,地域の枠を超えて,市町村,学校給食会,業者の連携が不可欠だと考えております。そのために,私たち県といたしましても,その三者がそれぞれ抱えた課題の共有や協議を促しながら,主食提供の安定について協力をしてまいります。
94
◯川津隆議長 西野一議員。
〔50番西野一議員登壇〕
95 ◯50番西野一議員 御答弁ありがとうございました。
近い将来の危険性が首長にしっかりと伝わり,計画的な取り組みのできる仕組みづくりを要望して,次の質問に移らせていただきます。
最後に,太田西山高校におけるライフスキル教育についてお伺いいたします。
ライフスキルは,生活の中で見通しを持って物事に取り組むこと,積極的に人とかかわること,相手の気持ちを理解することなど,人間が社会生活を営む上で欠くことのできない,一生を通じて役立つ能力を指すものです。ライフスキル教育により,子どもたちは,自己の感情や態度を上手に表現するスキルを具体的に学びます。こうした学びの過程を通して,子どもたちは他者から認められていると実感し,やがて自分に自信がつくようになるのです。
国立青少年教育振興機構の調査によれば,自己肯定感に関する項目である「今の自分が好きだ」に対しては,肯定的な回答が50.8%とまだ低い状況となっていることからも,高校生は自分に自信が持てない状況にあると言えます。また,コミュニケーションが苦手な子どもたちは自己肯定感が低い傾向にあるとの研究もあることから,人間関係の構築などに必要なコミュニケーション能力を育み,自己肯定感を高めることのできるライフスキル教育は極めて有効であると認識しております。
私は,平成28年と平成29年の第4回定例会におきまして,私の地元である常陸太田市の太田第二高校と佐竹高校の統合の際にも,ライフスキル教育について質問させていただきました。私は,子どもたちがやがて社会人となったとき,どんな困難にもくじけずに前向きな気持ちで乗り越えてもらいたい,そして希望に満ちた人生を送ってもらいたいという思いから,新校の特色として,ライフスキルがきちんと身につく高校を目指すことを提案いたしました。
そして,今年度,太田西山高校が開校し,入学生を迎え入れると同時に,ライフスキル教育が始まりました。しかし,実施初年度ということもあり,残念なことに,ライフスキル教育の一部が計画どおりの時期に実施できなかったというお話を伺っております。高校で,ライフスキル教育を授業として組み込んでいるケースは,全国でも数少ない先進的な取り組みであります。そのため,学校は実施に当たって試行錯誤をすることもあるでしょう。こうした新しい学校のチャレンジであるからこそ,ライフスキル教育をしっかり進めていただきたいと考えております。そして,学校が望むような研修を支援していただき,できるだけ多くの教員がライフスキル教育の授業をできるようにしていただきたいのです。
そこで,太田西山高校におけるライフスキル教育の推進についてどのように考えているのか,教育長にお伺いいたします。
この項目の質問については以上です。
96
◯川津隆議長 柴原教育長。
〔柴原教育長登壇〕
97 ◯柴原教育長 太田西山高校におけるライフスキル教育についてお答えをいたします。
太田西山高校では,生徒たちの豊かなコミュニケーション能力と他者を思いやる心を培うとともに,主体的かつ積極的に社会参画する力を育成するために,学校の特色として,3年間を通したライフスキル教育を打ち出したところでございます。ライフスキルは,どの時代,どの文化社会においても,人間として生きていくために必要な力のことでございます。
学校では,ライフスキル教育の実施に当たり,4月以降,自作教材等を活用するとともに,外部人材を積極的に活用して,コミュニケーション能力や問題解決能力などのライフスキルの育成に取り組んでおります。
例えば,9月には,演劇の専門家を招聘し,演劇の手法を取り入れた表現力・コミュニケーション能力を高めるワークショップを行いました。その中で,自分の思いや考えをしっかりと友達に伝えたり,逆に友達の思いや考えを心で受けとめたりする体験をした生徒からは,身についたスキルは社会に出てからも役に立つと思った,相手を理解しようとすることが大切だとわかった,あるいは話したことがないクラスメイトとも話すことができるようになったなど,ライフスキル教育ならではの感想を聞くことができました。
また,ライフスキルを担当する教員からは,多くの体験活動を通して,ふだん交流の少ない生徒同士が話すようになり,クラスの人間関係がよくなっている,グループ活動により生徒の積極性が向上し,他教科の学習にもよい影響を与えている,あるいは違う見方ができるようになり,課題を発見する力にもつながっているなど,ライフスキル教育の効果が実感できる感想も寄せられております。
このように,ライフスキル教育は,コミュニケーション能力を高めるスキルが学べることはもちろんでございますが,ふだんの学校生活における好ましい人間関係づくりの一助ともなっており,子どもたちの学校生活の充実に寄与しているものと考えております。
今後,太田西山高校では,常陸太田市の産業,歴史,文化などを学ぶため,外部講師による講義に加え,フィールドワークを取り入れるなど,生徒が地域を理解し,地元へ愛着を持ち,自己肯定感をさらに高めていけるような取り組みを予定しております。
また,1年生のライフスキルIで学んだ内容を基礎として,2,3年生のライフスキルII,IIIでは,ビジネスマナー,キャリア探求,自己啓発などの学びを通して,他者とのコミュニケーション,問題解決や意思決定など,社会の一員として必要なライフスキルの向上を目指してまいります。
一方,議員御指摘のとおり,太田西山高校でのライフスキル教育については,県内で初めての取り組みということもあり,学校では年度当初に戸惑いがあり,年間指導計画の一部が前後してしまいましたが,現在は,当初予定した内容に従い,順調に取り組んでおります。
今後,ライフスキル教育の一層の推進を図るためには,教員の指導力を高めることが必要でございます。そのため,今年度までは8月に1回だけであった教員の研修を,来年度からは4月にも実施することで,ライフスキル教育の指導体制を充実してまいりたいと考えております。
県といたしましては,生徒が日常生活で生じるさまざまな問題に建設的かつ効果的に対処し,主体的かつ積極的に社会参画できる人材の育成を図るため,太田西山高校におけるライフスキル教育を今後もしっかりと支援してまいります。
98
◯川津隆議長 西野一議員。
〔50番西野一議員登壇〕
99 ◯50番西野一議員 御答弁ありがとうございました。
4月からも研修を行っていただく。やはり一人一人の研修がすばらしい授業に変わっていくと思っています。ライフスキルの授業は,教員のスキルアップにもつながると考えております。ライフスキルの授業を通して,教員の皆さんにふだんの授業をより楽しく行っていただきたいと考えております。ライフスキル教育は,早期に行うほど効果があります。現在の太田西山高校での取り組みは大変すばらしいことで,また,演劇などを取り入れたということもすばらしいと思っています。
今後は,高校だけではなく,中学校等におきましてもライフスキル教育が広がり,地域のリーダーとして活躍できるような人材の育成につなげていただきたいということを要望させていただいて,私の質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
100
◯川津隆議長 これで,通告による一般質問並びに上程議案に対する質疑を終了いたします。
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地方公務員法第5条第2項の規定に基づく人事委員会の意見
101
◯川津隆議長 次に,第142号議案,第143号議案及び第156号議案について,地方公務員法第5条第2項の規定に基づき,人事委員会の意見を求めます。
足立人事委員会委員長。
〔足立人事委員会委員長登壇〕
102 ◯足立人事委員会委員長 第142号議案,第143号議案及び第156号議案について,意見を申し述べます。
まず,第142号議案職員の給与に関する条例等の一部を改正する条例中第1条,第2条及び第5条ないし第10条につきましては,本委員会が去る10月18日に議長及び知事に対して行った職員の給与等に関する報告及び勧告等を踏まえ,給料表の引き上げ改定や期末・勤勉手当の支給月数の引き上げなど,一般職の職員の給与について所要の改正を行おうとするものであり,適当なものと認めます。
次に,第143号議案職員の旅費に関する条例の一部を改正する条例につきましては,一部の旅行雑費を廃止する等,所要の改正を行おうとするものであり,適当なものと認めます。
次に,第156号議案市町村立学校県費負担教職員の休日及び休暇に関する条例及び市町村立学校県費負担教職員の勤務時間に関する条例の一部を改正する条例につきましては,地方公務員法及び地方自治法の一部改正により,会計年度任用職員が新設されたことに伴い,所要の改正を行おうとするものであり,適当なものと認めます。
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103
◯川津隆議長 次に,第141号議案ないし第168号議案を,お手元に配付の議案付託表のとおり,それぞれ所管の常任委員会に付託いたします。
つきましては,各常任委員会において,それぞれ審査終了の上,12月20日の本会議に報告されるよう求めます。
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日程第2 休会の件
104
◯川津隆議長 日程第2,休会の件を議題といたします。
お諮りいたします。
12月12日は,委員会審査準備のため,12月13日及び16日は,常任委員会審査のため,12月17日は,決算特別委員会審査のため,12月18日は,産業の育成・振興に関する調査特別委員会審査のため,12月19日は,議事整理のため,それぞれ休会とすることにいたしたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
105
◯川津隆議長 御異議なしと認め,さよう決しました。
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106
◯川津隆議長 以上で,本日の日程は全て終了いたしました。
次回は,12月20日午後1時から本会議を開きます。
本日は,これにて散会いたします。
午後4時51分散会
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